こんにちは!たびこふれ編集部、低山クライマーのシンジーノです。
ある日、山仲間の Iさんから声がかかりました。
「シンジーノ! 山梨県の都留市に"二十六夜山(にじゅうろくやさん)"っていう、なんともロマンチックな名前の山があるらしいのよ。富士山も見えるって。ほんで下山したら、"芭蕉 月待ちの湯"っていうこれまた風情のある名前の温泉があるんだって。行かない?」
「行く行く~っ!」と即答した私。山のガイドブックでもあまり見たことのない二十六夜山という名前。はてさてどんな山だったのでしょうか?
二十六夜山とは?
江戸時代に盛んに行われていた「二十六夜待ち」という行事にちなみ、名づけられた山でした。二十六夜待ちとは、旧暦の正月と七月二十六日の夜に、人々が集い、飲食を共にしながら月の出を待つという行事です。この日の夜半の月光に現れる「阿弥陀仏」「観世音菩薩」「勢至菩薩」の三尊の姿を拝むことができたら願いが叶うと信じられていたようです。その昔、二十六夜山の頂で、麓の村人たちが遠く離れた山塊から上ってくる月を拝んでいた、ってなんかロマンチックですね~。
またこの山は「日本の花の百名山」にも選ばれており、四月下旬~五月上旬の頃には「エイザンスミレ」が見られるそうです。
二十六夜山へのアクセス
二十六夜山は、山梨県都留市の南東部に位置しており、今倉山~赤岩~二十六夜山と尾根道で連なっています。今回は3つの頂を歩きました。起点はJR中央本線の大月駅経由で富士急行の都留市駅です。

二十六夜山のタイムスケジュール
本コースのタイムスケジュールは、以下の通りです
富士急行 都留市駅 8:15発==道坂隧道バス停(登山口)着 8:50・・今倉山着 9:50・・今倉山発 9:55・・赤岩着 10:30・・赤岩発 10:40・・二十六夜山着 11:25・・二十六夜山発 12:20・・登山口着 13:40・・芭蕉・月待ちの湯着 14:00・・月待ちの湯発 15:40--富士急行 赤坂駅着15:55
※歩行距離:約7.7km、歩行時間:約5時間、標高差:約500m
※交通表記→==:バス、・・:徒歩、‐-:タクシー
二十六夜山コースの見どころ
それでは、実際に私たちが歩いたルートをたどってみましょう。富士急行 都留市駅からバスで約30分。登山口の道坂隧道バス停で降り、登山開始です。

登り口のところにとてもわかりやすいマップが設置されていました。

登山口から今倉山まで標高差約450mを登ります。山登りは歩き始めの30分くらいはゆっくりめに歩いて体を慣らしていくのですが、いきなり急登が続きます。

フラットな道はほぼなく、ひたすら登っていきます。


登り始めて1時間で最初の頂である今倉山に到着です。今倉山が今回のルートの中では最高到達点ですが、眺望はありませんので小休止して次に進みます。

よく見られる杉やヒノキのような人口植林でなく、自然林です。こちらの方が歩いていて気持ちいいです。

基本的には尾根歩きなのですが、木々が茂っているため、眺望が良い箇所はあまりありません。また道はフラットではなく、小さなアップダウンを繰り返す"どSコース"なので、けっこう歩きごたえがあります。今倉山から歩くこと35分で赤岩(標高1,450m)へ到着です。ここが今回の中では一番眺望が良い頂です。

この日はそれほど好天ではなかったのですが、秀峰富士がしっかり顔を見せてくれました。


さて今日のメインである二十六夜山に向かいます。山道は歩きやすいのですが、相変わらずアップダウンが繰り返し現れてきて、休ませてくれません。

いったん林道に出て再び登山道に入ります。目指す二十六夜山はもう少しです。

あと少し、あともうちょっと、それでも登りは続く。。。

やったー!

赤岩から歩くこと55分、二十六夜山(1,297m)登頂です。この手作りの看板、味があっていい感じです。

心地よい疲労を感じながら富士山を眺めるおやじ二人(笑)。ここは赤岩のように360度眺望とはいきませんが、登山者を充分楽しまる風景を魅せてくれました。

富士山とは逆側の眺望(北側)はこんな感じ。さてそれでは山頂でのお楽しみ、山ごはんです。

Iさんは、シマダヤ流水麺にハム、錦糸卵、かいわれを乗せて冷やし中華風にアレンジしていました。

私は流水麺(そーめん)を京風だしで、トッピングはかいわれ、かき揚げ、半熟卵の豪華版です。

山頂に石碑がありました。ずいぶん古そうです。「二十六夜」が「十十六夜」と彫ってありました。

たっぷり1時間、二十六夜山で昼休憩を取って下山開始です。1時間20分ひたすら下ります。斜度はそれほどでもありません。

若い緑が清々しい。二十六夜山は森林浴を楽しむにはもってこいの山です。

沢沿いの道を下りていきます。水が枯れた箇所も多かったのですが「仙人水」が湧いているところがありました。水はひんやり冷たかったです。

下っていく途中、巨大な岩を通りました。

「かっちゃ石。かっちゃ坊」 生活の跡地と書いてありました。かっちゃというお坊さんがこの地で修行されたということでしょうか。去年山形県の山寺に行った時、お坊さんが山に籠って修行された跡を見ましたが、それに近いものではないかと思います。こんな場所でひとり修行するってお坊さんも大変です。
登山口に出たら、車道を約20分歩いて「芭蕉 月待ちの湯」に到着です。

都留市営の日帰り温泉でした。建物は新しくはありませんが、なかなか立派な建物でした。静かな山合いに位置する7haの広大な大自然に囲まれた森林公園内の施設で、そばにキャンプ場、コテージもあります。名前の由来は、二十六夜山の麓にあり、あの松尾芭蕉も立ち寄って句を詠んだそうです。「名月の夜やさぞかしの宝池山」露天風呂の場所に句碑が建っていました。
中の様子は公式サイトでご覧ください。特徴はお湯がぬるめで長時間入っても疲れない、私好みのお湯でした。時間帯にもよるでしょうが、5~6人しかおらず、空いていて1時間半もゆっくりしました。山登りをした後の入浴は何にも代えがたいご褒美です。
芭蕉 月待ちの湯 基本情報
- 住所:山梨県都留市戸沢874−1
- 電話:0554-46-1126
- 営業:12:00~20:00 月曜日休業
芭蕉 月待ちの湯から都留市駅に向かうバスがありますが、便数が少ないので事前に調べて把握しておいた方が良いでしょう。
今回はちょうどよい便がなかったため、タクシーを呼んでもらい、都留市駅より近い赤坂駅まで送ってもらいました。(約15分 2,630円)

赤坂駅で大月駅まで戻ります。大月駅には観光案内所県ショップがあります。

ここでのおすすめは「梅干し」です。地元の方の手作りの梅干しを売っています。

今回私が買ったのは、高木さんが作られた天日干し梅干し300円。

スーパーで売っている梅干しとは違い、素朴で優しく、美味しい梅干しでした。
二十六夜山 まとめ
二十六夜山の特徴をおさらいすると、以下の7つです。
- 美しい大きい富士山に出会える(天候による)
- 尾根歩きだかアップダウンが連続し、歩きごたえがある
- 道には木々が茂っていて山頂以外ではあまり眺望は期待できない(季節にもよる)
- 逆に森林浴を楽しめる、暑い時期には直射日光にさらされないで済む
- 下山後の温泉「芭蕉 月待ちの湯」はぬるめで長時間入っているいことができ、山登りの疲れを癒してくれる
- 駅からのアプローチはあまり便利とは言えないため、バス時間は事前に調べておいた方がよい
- 車で行く場合、登山口である道坂隧道には10台程度停められる駐車場がある
あまり知名度の高くない山ですが、登ってみると、自然林に包まれて、魅力に溢れたいい山でした。また季節を変えて登ってみたいと思いました。
大月市、都留市辺りの山々は富士山を愛でるには最高のポジションです。ぜひお出かけください。
文・写真 シンジーノ/提供元・たびこふれ
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