イスラエル考古学庁(Israel Antiquities Authority)は9日、イスラエル中部の都市ヤブネ(Yavne)で、約1000年前のニワトリの卵がほぼ完全な状態で見つかったと発表しました。
卵は、当時の排泄溝にある人の便の中に保存されていたとのことです。
今回の発掘調査は、数ヶ月前から始まっていたヤブネの都市拡大プロジェクトの一環として行われています。
丸ごと保存されたのは「うんち」のおかげ?
鶏卵の殻の破片は、これまでにもいくつか発見例がありますが、鶏卵はとても壊れやすいため、丸ごと保存されることはまずありません。
発掘チームの考古学者、リー・ペリー・ガル氏は「ほぼ完全な状態の鶏卵の出土は、世界的に見てもきわめて珍しい」と指摘。
「現在ですら、スーパーの卵が長く保存されることはありません。それが1000年前なので、なお驚きです」と話します。
卵の長さは約6センチで、表面にかすかなヒビが入っていたものの、大きく欠けた部分はありませんでした。
ただ残念なことに、卵の底に小さな穴が開いており、そこから中身がほとんど漏れ出てしまったようです。
脆いはずの鶏卵がこれほど完璧に保存された理由について、同チームのアラ・ナゴルスキー氏は「人の軟らかい排泄物の中に包まれたことで、何世紀もの間、壊れることがなかったのでしょう」と説明します。
イスラエルに養鶏が導入されたのは、今から約2300年前のヘレニズム時代と初期の古代ローマ時代です。
イスラエルでは7世紀以降になると、イスラム教の影響で豚肉を食べることが禁止されたため、同地周辺の遺跡でも豚の骨の割合が著しく減少しています。
その代わり、当時の人々は鶏肉と鶏卵をよく食べるようになりました。
鶏卵は冷却や特殊な保存の必要がなく、すぐに摂取できるタンパク質として重宝されたようです。
ただし、この卵がなぜ排泄溝にあったのかは分かりません。
まさか鶏卵を丸呑みして、そのまま便として排泄された…なんてことはないでしょう。
卵はさらなる調査のため、実験室に持ち帰られましたが、細心の注意を払ったにもかかわらず、殻が割れてしまったとのことです。
中はほぼ空っぽで、卵黄の一部だけが残っており、近々DNA分析にかけられます。
割れた卵は、遺物の保存修復を専門とするイラン・ナオール氏により、発見時の状態に戻されました。
現在、発掘チームが調査を進めるこれらの場所は、東ローマ帝国時代にさかのぼる工業地帯とのことで、他に1600年前のモザイク式のタイルなどが見つかっています。
また、卵と同じ排泄溝からは、遊び道具として使われていたとされる骨人形が3体発見されました。
同遺跡にはまだ多くのお宝が眠っていると考えらており、今後も発掘調査が続けられます。
参考文献
A cracking find in Israel: 1,000-year-old egg – still intact
Preserved in poop: 1,000-year-old chicken egg found in Yavne cesspit
提供元・ナゾロジー
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