【木村ヒデノリのTech Magic #059】 IoT照明のポテンシャルを最大限に引き出すガジェットが凄かった。「Hue Sync Box(ヒューシンクボックス)」は代表的なIoT照明であるPhilips Hue(フィリップスヒュー)シリーズの電球やリボンライト、間接照明を映像とシンクロする演出照明に変えてくれる画期的製品だ。
Hue Sync BoxでIoT照明のポテンシャルが明らかに
2018年ごろから注目され始めたIoT照明。当時は「声でオンオフできる」「声で色が変えられる」ということが目新しく注目されていたが、次第に色温度と調光機能のみの安価なタイプが台頭していった。フルカラーのLED電球は海外では一定の需要があったものの、日本では定着しなかったようだ。
筆者宅も例外ではない。全ての照明がフルカラーのHueとなっているが、部屋を赤や青にしたことはほとんどなかった。完全に持て余していた機能だったが、Hue Sync Boxを導入した事で一変した。例えるなら「映画の画面が部屋中に広がった感覚」で、没入感が凄い。
画面四辺に対応した各照明が瞬時に追随して変化していく。1600万色を再現できるHueを使うと、画面の中そのもの、と言えるほど忠実な色を照明で再現できて非常に驚いた。こういう使い方ができればフルカラー照明のポテンシャルを十二分に活用できるし、部屋の照明をIoT化したメリットもさらに高まる。
スイッチングハブとしての機能性も優秀
Hue Sync Boxの接続方法は、プレイヤーのHDMIをHue Sync Boxにつなぎ、Hue Sync BoxのHDMI OUTをテレビなどに接続する必要がある。プレイヤーとテレビの中間に設置するような格好だ。ポートはアウトプットが1系統、インプットが4系統あるので、合計四つのメディアソースに接続して、切り替えることができる。
筆者の場合、Apple TV、Nintendo Switch、4Kデジタルチューナーを接続していて、各信号が検知されると自動で切り替わる設定にしている。4K、Dolby Vision、HDR10+にも対応しているので、高画質フォーマットを視聴する際も画質を損なうことなく観られるのが良い。さまざまな映像デバイスが群雄割拠する昨今、テレビのHDMI入力では足りないことも多いので、Hue Sync Boxで4系統増やせるというのはハブ的な役割としてだけでも非常に有用だ。
ほかにもHDMIで接続された機器同士をコントロールするためのCECや、USB接続によるテレビの電源オンオフ感知、HDMI1本で音声機器の接続を可能にするARC(オーディオリターンチャンネル)のバイパス機能など、こだわりのあるユーザーニーズにも応えられる高度な設定が可能。さらにこれらはアプリを介して設定可能で、登録すればテレビのリモコンでシンクロのスタートなどができるようになる。アプリでわかりやすく設定ができる機能は他社製ハブにはないし、この製品を選ぶポイントになる仕様だろう。
映画だけでなく、ゲームや音楽など多様な場面で臨場感を
実際に画面と照明を連動させるには、公式アプリから「エンターテイメントエリア」を設定する必要がある。ここでは室内に設置されたHueシリーズの照明位置と高さを設定できる。設定が終わると、Hue Sync Boxがそれらを加味して画面に対応した色を出力してくれるという仕組みだ。
アプリでは適したモードや強さ、明るさなどを設定できるので、よりレスポンスの速さが求められるゲームプレイにも対応する。映画視聴する際には明るさの設定を落とすと部屋全体を明るくしすぎることなく楽しむことができる。
3万円を超える価格はおいそれと導入できるものではないが、体験できる臨場感は映画館を上回ると言っても良いかもしれない。例えば、60インチ以上のテレビやプロジェクターを短距離で映し出せば自宅でも十分に迫力が出るし、音も筆者が以前記事にしたHomepodやサウンドバーを利用すればサラウンドを再現することができる。
これらにHue Sync Boxが加われば、まるで画面の中に入ったかのように部屋全体が映像とリンクし、一種のアトラクションのような体験ができる。映画館には映画館の良さがあるが、自宅にここまで快適な視聴空間を作れる投資と考えれば払っても損はないのではないだろうか。
とはいえ、Hueシリーズを何台も導入するとなると、照明だけで数万かかるということも忘れてはならない。これを考えるとやはり腰が引けてしまうが、大型のテレビや音響機器も含めて引っ越しやリフォーム、模様替えの際にえいやっ!と構築してしまうのはアリかもしれない。唯一無二の体験空間ができるのは間違いないので、映画好きで近々引っ越しや新居購入を考えている方はぜひトライして欲しい。(ROSETTA・木村ヒデノリ)
提供元・BCN+R
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