近年、「働き方改革」である週4勤務(週休3日)制が「人生の満足度を向上させる」として、世界各地で検討されています。
そして、週4勤務を推奨する団体「4 Day Week Campaign」と環境保護団体「Platform London」の報告によると、週4勤務は環境にも良い影響を与えるかもしれません。
イギリスが週4労働に移行した場合、二酸化炭素排出量(CO2)が20%以上削減する可能性があるのです。
週4勤務がイギリスのCO2排出量を20%以上削減する
現在、アメリカでは通勤者の4分の3以上が車を利用しています。
車は他の交通手段に比べてはるかに人気があり、それは他の国でも同様です。
では、アメリカよりも公共交通機関や自転車専用レーンが充実しているイギリスの首都ロンドンはどうでしょうか?
ロンドンでもこの傾向は変わらず、通勤者の3分の1以上が自動車を利用しています。
そのため報告書によると、イギリスにあるすべての企業が週4勤務に移行した場合、通勤距離が週に5億5,800万マイル(約9億キロメートル)減少するとのこと。
これによりCO2排出量は1億2,700万トン(20%以上)減少すると考えられています。
また電力消費量も減少する可能性があります。
現在はオフィス勤務とリモートワークを組み合わせた「ハイブリッド型」を採用している会社が多く、勤務日はオフィスと自宅の両方で電気を使用しています。
そのため週4勤務制を導入し、オフィスを完全に閉鎖する日が増えるなら、節電につながると考えられているのです。
労働時間の短縮は人と環境に優しい
今回の報告にあるような「労働時間を短縮すれば、CO2排出量が減る」という考えは新しいものではありません。
例えば2006年に発表された論文では、アメリカ人の労働時間をヨーロッパ人並みに短縮すれば、CO2排出量が7%削減できると言われています。
また別のいくつかの研究では、より長い労働時間が、より多くの消費活動を生み出すとのこと。
逆に休日が多くなると、人は車を運転するよりも、家族と過ごす、公園に行く、ボランティアをする、散歩をするなどのCO2を排出しない活動に時間を費やすようになるというのです。
現在、週4勤務制は徐々に浸透してきています。
スペインやスコットランドでは全国的な試験運用が計画されており、企業への補助金制度などもあるようです。
またマイクロソフト社や、世界有数の一般消費財メーカーのユニリーバ社も、一部の市場でテストしているとのこと。
もちろん、週4勤務制の主な動機は「従業員が生活の質を向上させること」ですが、一部の国や企業は、環境への対策としても有効だと認識し始めています。
今後は、世界的にも「人と環境のために」週4勤務が推奨されていくのかもしれませんね。
提供元・ナゾロジー
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