神社や寺院が多いことで、世界的に有名な場所・京都。訪れたい街の世界ランキングでは上位に入ることも多い京都で、特に人気のある観光地が左京区にある南禅寺です。南禅寺は京都の中でも歴史があり格式の高いお寺として有名で、しかも南禅寺の周辺には見どころが満載! この記事では、その魅力をあますところなく紹介していきます。

目次

  1. 1. 南禅寺の歴史
  2. 2. 南禅寺へのアクセス
  3. 3. 南禅寺
    1. 3.1 勅使門(重要文化財)
    2. 3.2 中門
    3. 3.3 三門(重要文化財)
    4. 3.4 法堂
    5. 3.5 本坊
    6. 3.6 水路閣
    7. 3.7 南禅院
    8. 3.8 金地院
    9. 3.9 明智門
    10. 3.10 東照宮
    11. 3.11 金地院大方丈
    12. 3.12 鶴亀蓬莱の庭
    13. 3.13 天授庵の庭
    14. 3.14 龍淵閣
    15. 3.15 南禅会館
    16. 3.16 観門亭
    17. 3.17 琵琶湖疏水
  4. 4. 南禅寺の基本情報

1. 南禅寺の歴史

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

今からおよそ800年前の1284年。南禅寺は禅林寺殿と呼ばれており、まだお寺ではなく離宮という扱いでした。その頃、仏門に入り上皇から法皇となられた亀山法皇は、その禅林寺殿で、夜な夜な現れる妖怪にほとほと困っていたそう。

そこへ無関普門(むかんふもん)という僧が弟子たちと共に、禅林寺殿に入り、静かに座禅をすると、妖怪たちは現れなくなり、亀山法皇は安心なさったと言われています。そのような経緯もあり、亀山法皇は無関普門に開山をお命じになり、南禅寺ができたのだそうです。その時は「龍安山禅林禅寺」と呼ばれていました。

1334年には、後醍醐天皇が建武の新政において禅寺の五山制度を整え、南禅寺を五山の筆頭にします。

ところが、その数十年後に室町幕府将軍足利義満は自らが建立した相国寺を五山の第一に位列しようと思い、南禅寺を五山のさらに上の、別格扱いにしました。そして、京都五山(天龍寺、相国寺、建仁寺、東福寺、万寿寺)と鎌倉五山(建長寺、円覚寺、寿福寺、浄智寺、浄妙寺)に分割し、そのまま現在に至っています。歴史的経緯を見ても、南禅寺はとても格の高い禅寺だということが分かります。

その後、火災や応仁の乱などで伽藍(がらん)を焼失したりもしましたが、江戸時代になると復興が進んでいきます。というのも、徳川家康の側近である以心崇伝(いしんすうでん)が南禅寺に入り、力を貸してくれたことが大きく影響しています。

以心崇伝は江戸幕府より、日本全国の臨済宗の寺院を取りまとめる役である「僧録(そうろく)」という地位を与えられ、政治的にも外交的にも手腕をふるい「黒衣の宰相」と言われていたほどでした。

明治維新以降は、琵琶湖疏水が寺院の中を通ることに、当初は多くの反対もあったそうですが、「京都のためになるなら......」ということで寺院の中を水路閣が通ることになったそうです。その南禅寺水路閣は、現在ではインスタ映えスポットとして数々の観光客を魅了しています。

2. 南禅寺へのアクセス

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

JR京都駅から京都市を南北に走る地下鉄烏丸線の国際会館行きの電車に乗ります。地下鉄は大体10分に1本くらいの間隔で運行。途中駅の烏丸御池(からすまおいけ)で、東西線の六地蔵(ろくじぞう)行きか浜大津行きに乗り換え、4駅目の蹴上(けあげ)で降りてください。蹴上を降りて改札を出たら一番出口から地上へ。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

地上に出て右のほうに歩くと、明治時代に作られた「ねじりまんぼ」という小さなトンネルがあります。「ねじりまんぼ」とは煉瓦の組み方のことで、上から力がかかっても潰れないようにするための方法だそうです。

そのトンネルを抜けると風景が一変。その自然豊かで静かな道を進むと南禅寺に到着します。途中には、南禅寺塔頭の金地院もありますので、まずはそちらから見学しても良いでしょう。

3. 南禅寺

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

では、早速お寺の中に入ってみましょう。

3.1 勅使門(重要文化財)

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

勅使門とは天皇の使者を迎える門という意味です。国の重要文化財に指定されていて、1641年に京都御所の日ノ御門を移築したものだそうです。静かな佇まいですがとても存在感があります。

3.2 中門

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

参拝者はこの中門より出入りします。こちらも古いもので1601年に伏見城松井邸から寄進されたものだそうです。

3.3 三門(重要文化財)

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

思わずため息が出てしまいそうなほど大きな三門。その高さはなんと22メートルもあるそうです。天下の大泥棒とも呼ばれていた石川五右衛門がこの三門の上から「絶景かな、絶景かな」と言うシーンは歌舞伎の「楼門五三桐」の一場面としてあまりにも有名ですね。

開山当時の三門は火災で焼失しており、現在の三門は1628年に藤堂高虎が大坂夏の陣で、戦い亡くなった家来の菩提を弔うために再建したのだとか。そう思うとこの力強い重厚な柱にも人の思いが感じられます。

三門は国の重要文化財にも指定されており、日本三大門のひとつに数えられます。他に京都市の知恩院の三門、山梨県の身延山久遠寺の三門があります。

また、知恩院の三門と、仁和寺の仁王門と合わせて京都三大門でもあります。知恩院は南禅寺からも近いので合わせて訪れてみてはいかがでしょうか。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

三門は600円で拝観することができます。数々の歴史上の人物がそこから眺めたであろう都の街並みをぜひ堪能してください。桜や紅葉の季節は本当に絶景です。また天井には天人と鳳凰が描かれた天井画が見られますが、これは狩野探幽によって描かれたものです。

3.4 法堂

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(画像=『たびこふれ』より引用)

三門から真っ直ぐ進むと正面に法堂があります。お線香の煙が出ているので、頭にあてている人も時々見られます。

法堂は公式行事や法要などが行われていて、南禅寺の中心的な建物です。創建当時から何度も焼失と再建を繰り返していますが、1606年に豊臣秀頼が大改築。現在のものは1909年に再建されたものです。

3.5 本坊

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(画像=『たびこふれ』より引用)

こちらは南禅寺の本坊です。こちらで拝観料を納めると、国宝である方丈と枯山水の庭、六道庭などを拝観することができます。

3.6 水路閣

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(画像=『たびこふれ』より引用)

この風景、見たことがある人も多いのではないでしょうか。ドラマの撮影などにもよく使われる水路閣(すいろかく)です。煉瓦造りとなっていて明治時代に造られました。寺院の中に突如として現れるので最初はびっくりしますが、それでも、周りの風景と馴染んで絵になります。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

この水路閣は、琵琶湖から京都に水や荷物を運ぶために造られたものだそうです。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

近くの階段を上ってみると、実際に水が流れているのが見られます。明治時代に造られたものが今もこうして使われているのはすごいことですね。

3.7 南禅院

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(画像=『たびこふれ』より引用)

さて、水路閣のすぐそばには、南禅院があります。南禅院は南禅寺の別院で、もともとは亀山上皇の離宮があった場所です。そのことから南禅寺発祥の地とも言われています。こちらも応仁の乱の後は荒廃していたのだそうですが、江戸幕府5代将軍の徳川綱吉の生母、桂昌院によって再建されました。

こちらの庭園は、こじんまりとしていますが、自然との調和がとても美しく、紅葉の季節は思わずため息がでてしまうほどの美しさ。また滝もあり水が流れ落ちる音に癒されること間違いなしです。拝観料の400円を納めて、ぜひ中に入ってみてくださいね。

3.8 金地院

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(画像=『たびこふれ』より引用)

こちらは、南禅寺の塔頭寺院の金地院です。塔頭とは、禅宗寺院で開山や住持の死後、弟子が遺徳を慕ってその塔の近く、あるいは同じ敷地内に建てた小さい寺院のことを言います。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

もともとは北山にあったそうなのですが、江戸幕府が開かれた折、徳川家康の側近である以心崇伝によって現在の地に移されたのだそうです。

地下鉄の蹴上駅から、ねじりまんぼのトンネルを通って南禅寺まで歩いてくる途中にあるので、先にここを拝観しても良いかもしれません。

3.9 明智門

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(画像=『たびこふれ』より引用)

金地院の受付で拝観料を納めて順路を進むと「明智門」と呼ばれる大きな門があります。これは明智光秀が母の菩提を弔うために、黄金1000枚を寄進して建てられたものです。元々は大徳寺方丈にあったそうですが、1887年にこちらに移築されたのだそうです。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

明智門をくぐると苔の美しい庭と弁天池があります。池にはたくさんの睡蓮の葉が浮かんでいます。初夏にはきれいな花を咲かせることでしょう。

3.10 東照宮

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(画像=『たびこふれ』より引用)

金地院は徳川家ゆかりの寺ということで徳川家康を祀る東照宮があります。こちららは徳川家康の遺言によって建てられ、徳川家康の遺髪と念持仏を祀っています。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

「あれ?ここはお寺であるはずなのになぜ東照宮?」と不思議に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、明治維新以前の神仏習合の名残ではないかと言われています。

本殿と拝殿の間に石の間を置く権現(ごんげん)造りは京都でも珍しいのだとか。

また本殿の天井には狩野探幽によって描かれた「鳴龍」があるのでぜひ確認してみてください。

3.11 金地院大方丈

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(画像=『たびこふれ』より引用)

金地院の大方丈では特別拝観を行なっています。通常の拝観料500円に加えて、特別拝観料700円を納めれば、方丈内をガイド付きで案内してもらえます。

また、有名な襖絵や茶席を見ることもできますので、ぜひ特別拝観してみてはいかがでしょうか。

特別拝観は、毎日、9時半~15時半までの間で1時間ごとに行われます(12時台はお昼休みのため行われません)。各回30分ほどですが、普段は見られない文化財に触れることができます。ただ、予定が変更になることもあるそうなので、事前に金地院に予約することをおすすめします。

さて、この方丈は1611年に以心崇伝が江戸幕府3代将軍徳川家光より賜った伏見城の一部を移築したものと言われています。また、正面に掲げられている「布金道場」という書は山岡鉄舟により書かれたものだそうで、とても大きく歴史ある佇まい。周囲はとても静かで、人が少ない時期に訪れれば、タイムスリップしたかのような感覚を味わえるかもしれません。

そして、この方丈にはたくさんの部屋があり、有名な襖絵があります。ここでは代表的なものを紹介していきましょう。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

菊の間にある狩野探幽の菊の絵はとても鮮やかな色が残っていました。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

一番の見所は長谷川等伯の「猿猴捉月図」。長谷川等伯は、水墨画で有名な雪舟の流れを汲む、代表的な桃山時代の画家です。当時も今も日本にはテナガザルはいませんが、長谷川等伯は中国の画家、牧谿(もっけい)に学んでこのテナガザルを描いたのだそうです。実際に見て描いたかのような、今にも動き出しそうな躍動感がありますね。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

方丈の奥には「八窓席茶席」と言われる茶室があり、京都三大茶室の一つとも言われています。茶室に入る躙(にじ)り口が高いところにあるのが特徴です。

3.12 鶴亀蓬莱の庭

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(画像=『たびこふれ』より引用)

方丈の目の前に広がるのは鶴亀蓬莱の庭です。広々とした枯山水で思わず深呼吸したくなります。方丈の縁に腰をかけてしばらく庭を見つめているのは至福の瞬間とも言えるのではないでしょうか。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

写真向かって右側の大きな松の下に石がゴロゴロとある方が卵を抱いて座っている鶴に見立てています。すっと伸びた青石は鶴の首でその先の石がくちばしです。この鶴のスペースは鶴島と呼ばれています。

向かって左側の石が亀です。鶴よりも小さいですね。こちらのスペースは亀島と呼ばれています。

ちょうど真ん中にある畳3畳分ほどの茶色い石は遥拝石です。本堂からみて祭壇的な役割を果たしています。

手前の白い砂は海を表しています。京都の北白川というところで取れる白川砂で、雲母が含まれています。陽の光を浴びるとキラキラと輝くことから、まるで波のように見えます。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

この緑の樹々は深い山々を表しています。またこの庭の木は一年中緑の葉っぱを繁らせる常緑樹が植えられており、枯れることがないため、繁栄を意味しています。

このように鶴亀蓬莱と縁起の良いものづくしの庭で、徳川の繁栄を願っていたと言われています。

鶴亀蓬莱の庭を作庭したのは小堀遠州(えんしゅう)と言います。安土桃山時代から江戸時代前期にかけての大名で、茶人、建築家、作庭家、書家と様々な才能を持っていた人のようです。庭だけではなく、金地院の東照宮や茶室を作ったのも小堀遠州だったようです。

このように鶴亀蓬莱の庭は縁起の良いものづくしで調和のとれた美しい庭です。ぜひゆっくりと拝観してみてください。

3.13 天授庵の庭

天授庵も南禅寺の塔頭の一つで中門を入ってすぐ左にあります。お寺の建物の中に入ることはできませんが、見事な枯山水の庭と池泉回遊式(ちせんかいゆうしき)の庭を見ることができます。池泉回遊式というのは、池を中心に築山や橋、池の中の小島や名石などで各地の景勝を表した庭のことです。この庭は秋にはライトアップされるそうです。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

天授庵は1339年、南禅寺の開山無関普門禅師を祀るために光厳天皇の勅許によって建てられました。その後、応仁の乱により焼失してしまいましたが、戦国時代には細川幽斎によって再興。

細川幽斎というのは細川藤孝といい、足利義輝に仕え、織田信長の協力のもと、足利義昭将軍を擁立に力を尽くした人物のことです。大河ドラマ「麒麟が来る」でご覧になられた方も多いのではないでしょうか。庭を見ながら、細川幽斎に思いを馳せるのもいいかもしれませんね。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

天授庵に入ると、まず迎えてくれるのは、美しい青もみじ。きれいですね。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

枯山水は白砂が美しく、心に落ち着きを与えてくれます。頭を空っぽにして眺めていたい庭です。枯山水の庭を見終わったら、池のある庭の方に向かってみます。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

鯉がたくさん泳いでいます。気配を感じて近寄ってきてくれました。

こういう石の上を歩くのも楽しいですね。取材の時期はちょうど芽を出したばかりでとても美しい新芽が見られました。

3.14 龍淵閣

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

龍淵閣では毎月第2日曜日と第4日曜日の午前6時から暁天坐禅会が行われています。(1月と8月はお休み。また、11月から3月までは午前6時30分から。無料)

朝早くから坐禅をするのは気持ちが良いですよ。初めてでもちゃんと説明してくださるので心配は不要。ぜひ一度京都で坐禅を体験してみてください。

解散は7時ごろになるので、坐禅の後にどこかでモーニングをするのも良いかもしれません。日程は変更の可能性もあるので、ホームページで確認してみてください。

3.15 南禅会館

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

南禅会館は南禅寺の宿泊施設です。お寺に泊まるというのも京都ならではですね。街中の喧騒から離れて、お寺独特のゆったりと流れる時間と静けさを感じられそうです。

朝、人のいない南禅寺を独り占めできるのも良いですね。朝の新鮮な空気や季節の風を感じ、読経の声や鳥のさえずりを耳にしながら境内を歩くのは非日常を味わえるひとときとなるでしょう。

また、南禅会館では宿泊者限定で朝のお勤めや坐禅プログラムも用意されているのでぜひ体験してみてはいかがでしょうか。

さらに、宿泊者には特典もあります。南禅寺方丈庭園(600円)、南禅寺山門(600円)、南禅院拝観料(400円)が無料になります。

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(画像=『たびこふれ』より引用)

3.16 観門亭

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

中門を出たところにある小さなお土産屋さんが観門亭です。名前の通り、すぐそばに三門が見えます。京菓子をはじめとして、漬物、お茶、佃煮、湯葉などから工芸品まで京都のお土産を取り揃えているので、拝観が終わったら覗いてみてはいかがでしょうか。

また門前にはたくさんの湯どうふのお店が並んでいます。ぜひ食べてみてください。ほかにも、カフェなどがありますので、その時の気分に応じて食事をしたり、お茶を楽しんだりしてくださいね。

以下の過去記事は南禅寺の門前にある湯豆腐の名店を取材したものです。紅葉の時期のものですので、美しい紅葉とともに楽しめます。

3.17 琵琶湖疏水

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

拝観後はインクラインも見学してみましょう。南禅寺を出て左に進むと、桜の名所インクラインがあります。

インクラインというのは、傾斜面にレールを敷き、船舶・荷物などを台車に載せて引き上げる設備のことです。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

滋賀の大津方面から疎水経由で運ばれてきた荷物をここでレールに載せて運んでいました。もちろん現在は使われていませんが、桜並木があり、レール跡とあいまって、とても良い雰囲気の桜並木が見られます。桜の季節には大勢の人で賑わうそうです。

では、疎水とはどこにあるのでしょうか。ここからもう少し駅の方に向かいます。実はこの道は三条通りで、まっすぐ行けば、三条大橋があります。江戸時代に江戸と都を結んだ道路、東海道の江戸に向かう始発点であり、江戸から来た人にとっては終着点となるのが三条大橋です。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

その手前となるここ蹴上に、日向大神宮があります。ここは都のお伊勢さんとも言われ、歴史ある神社です。東海道のすぐそばにあることから、昔の人はここで、旅の安全を祈っていったと言われています。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

神社に向かう階段をのぼると、すぐに疎水を見ることができます。

明治時代には、このトンネルを通って大津から荷物と水を運んでいたのだそうですが、国鉄や高速道路が整備され使用されなくなりました。

しかし、2018年びわこ疎水船がオープン。大津から蹴上までの船旅を楽しめるようになりました。気になる方はこちらをチェックしてみてください。

そもそもなぜこの疎水ができたのかというと、明治維新を経て、首都が東京になるとともに、明治天皇が東京にお移りになり、京都の町はどんどん衰退していきました。

そんな京都を立て直そうと、第3代京都知事・北垣国造が発電、灌漑(かんがい)、上水道などのインフラの整備を指示。その主任技術者に抜擢されたのが、当時工部大学校(現在の東京大学)を卒業したばかりの田辺朔郎。その時、若干22歳でした。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

その偉大な功績を称えて、ここには田辺朔郎の像があります。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

疎水の水は南禅寺の中を通る水路閣を利用して最終的には鴨川に流れて行きます。また、南禅寺から右の方に歩くと、疎水の水が溜まっているダムのような場所に出ます。この向こうに見えるのは京都市動物園。京都市民であれば一度は行ったことのある京都市動物園の開園は1903年で、上野動物園に次いで日本で2番目に古い歴史ある動物園です。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

この近くには琵琶湖疏水記念館もあるので、見学してみてはいかがでしょうか。詳しい案内はこちらです。

【京都】京都最大の禅寺、南禅寺とその周辺をめぐる完全ガイド
(画像=『たびこふれ』より引用)

さらには、疎水を利用して日本初の営業用水力発電所、蹴上発電所も作られました。この煉瓦づくりの発電所は今も京都市民に電気を送り続けています。

このように南禅寺を中心として蹴上は日本の歴史を見守り続けてきたエリアです。ぜひ、南禅寺とその周辺エリア、蹴上を楽しんでみてください!

4. 南禅寺の基本情報

  • 住所:京都府京都市左京区南禅寺福地町

  • 拝観時間:
    12月1日〜2月28日 8:40〜16:30
    3月1日〜11月30日 8:40〜17:30
    ※拝観受付は拝観終了時間の20分前までです。

・金地院 12月1日〜2月28日 8:30〜16:30
    3月1日〜11月30日 8:30〜17:00
・天授庵 11月15日〜2月28日 9:00〜16:30
    3月1日〜11月14日 9:00〜16:45

  • 定休日:年末(12月28日〜12月31日) ※詳しくは公式HPをご確認ください

  • 拝観料金:
    ・方丈庭園 一般600円 中高生500円 小学生400円 
    ・三門   一般600円 中高生500円 小学生400円 
    ・南禅院  一般400円 中高生350円 小学生250円 

  • 車でのアクセス:
    ・京都東IC出口から三条方面へ6km
    ・JR京都駅からタクシーで20分
    ・駐車料金 乗用車 2時間以内 1000円

  • 電車のアクセス:
    ・京都駅より地下鉄東西線「蹴上」駅下車徒歩約13分
    ・京都駅より市バス17系統「錦林車庫前」下車徒歩約20分

※この記事は2020年12月に取材した記事です。期間限定の情報もありますので、最新情報は公式HPをご確認ください

文・写真 若林佐恵里/提供元・たびこふれ

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