ダイハツが軽クロスオーバーのコンセプトモデル「TAFT(タフト)コンセプト」を2020年の東京オートサロンで世界初公開した。このコンセプトカーから推測するにスズキ「ハスラー」と軽クロスオーバーの市場でのライバルになりそうなこの車。タフトとはどんなクルマになるのだろうか?

ダイハツ「タフト」の歴史 1970年代に生産されていた車名

「タフト(TAFT)」のネーミングはコンセプトである「Tough&Almighty Fun Tool」の頭文字を取ったもの。この名称を持つクルマは、1970年代に一度存在した。当初はラダーフレームを採用した、本格的な4輪駆動車。今回公開されたタフトは、以前販売されていたタフトとは、ボディ形状や排気量、コンセプトはまったく違うもので、初代タフトのもつ武骨さは追求されていない。

同車が世界初公開された「東京オートサロン」で、ダイハツのブーステーマは「遊びゴコロをみんなのものに。」だ。タフトコンセプトには実用性だけじゃなく、ワクワクするような遊びゴコロが秘められているのが一見しただけでわかる。

「タフト」はどのようなクルマになるのか?

「ミライース」や「ウェイク」「タント」「ムーブ」などダイハツの軽の駆動には、FF(前2輪駆動)とフルタイム4WD(4輪駆動)が用意されている。このことから軽クロスオーバーの「タフト」にもフルタイム4WDの設定があると想像できる。

また2019年7月に発売した「タント」に採用されているダイハツの新プラットフォーム「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」は「タフト」にも投入される。サスペンションやアンダーボディ、エンジン、トランスミッション、シートなどを含めて、この技術が存分に活かされることになるだろう。

他に着目しておきたいのは軽自動車には珍しくガラスルーフを採用しているところ。通常ガラスルーフにすること重心が高くなってしまい、ボディ剛性が低下する。そのため市販車にも採用されるかは明言できないが、軽自動車の広くはない車内でも、心理的な圧迫感が減るというメリットがある。DNGAを採用することで、ボディ剛性と開放感の両方をハイレベルで実現してくる可能性は高い。

ダイハツ「タフト」のエクステリアの特徴 スズキ「ハスラー」に似るのは仕方がない

(写真=鈴木博之)

軽自動車の宿命だが車両規格に収めるために、どうしてもエクステリアが似てしまう。そういって点で「ハスラー」と類似してきてしまうのはいた仕方ないとも言えるだろう。

エクステリア面での大きな違いとしては、タフトのライトは四角目ライトで、ハスラーは丸目ライト。またタフトの後席窓は、下にいくほど狭まっていくような個性的なデザインになっていて、ハスラーには3枚目の窓があるところだろう。

またバンパーの一部と一体型になっているフェンダーや、サイドシル、リアフェンダーアーチや、後席ドアまでも塗装していないブラックの樹脂を使うことで、クロスカントリー感を出している。

ダイハツ「タフト」の足回りは?日常からアウトドアまでオールラウンド仕様

足元に目をやると、ホイールはワークの「CRAG T-GRABIC」が装着されている。タイヤはグッドイヤーの「Vector 4Seasons Hybrid」という、ドライから圧雪、冬用タイヤ規制の高速道路まで走ることができるオールシーズンタイヤを装着していた。

こういったタイヤを履かせていることから普段乗りからレジャー・アウトドアシーンと、オールラウンドな使い方を想定しているのがわかる。

メーカーが公表しているタイヤサイズは165/65R15だったが、実際に装着されていたのは175/65R15とトレッド面がワンサイズ広いものだった。ちなみにハスラーのタイヤサイズは165/60R15だ。

ボディサイズは軽自動車の車両規格ギリギリの全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,630mm。ハスラーは全長3,395mm×全幅1,475mm×全高1,680mmと、ハスラーに比べて全高が50mm低い以外は同じ。

「タフト」は男性ドライバー向け?女性ウケする「ハスラー」との違いは

(写真=鈴木博之)

「ハスラー」は可愛らしい丸目ヘッドライトや、ボディカラーもオレンジ、レッド、ピンク、イエローなどが選べ、女性もユーザーとして想定していることが推測される。

それに対して「タフト」は全体的に角ばっていて、フロントフェイスからして武骨な印象。フロントやリアアンダーにメッキパーツも使用しタフな雰囲気を醸し出している。メインユーザーとして男性をターゲットにしているのだろう。

「タフト」のデザインは「ハスラー」と「ジムニー」の中間を狙っていると考えられる。  

「タフト」の発売は2020年中頃 販売台数はハスラーに迫れるかがポイント

(写真=鈴木博之)

展示では「タフト コンセプト」と表記されていたが、おそらくこの姿で販売されると予想される。ダイハツスタッフによると「多くのお客様に乗っていただくように手の届く価格帯を考えています」と言っているように、ハスラーの動向をとても気にしているようだった。

「タフト」の「ライバル」であるハスラーだが、2019年度の軽自動車の新車販売台数では、9位(57,840台)。「ジムニー」が13位(30,281台)で、1位はホンダ「N-BOX」の253,500台、2位はダイハツ「タント」の175,292台だった。1位の「N-BOX」は別格としても、販売開始後、「ハスラー」の販売台数に迫れるかが一つのポイントと言えそうだ。

2020年の年央に発売予定というが、「ハスラー」と並び個性的な軽クロスオーバー車が街を走るのを、ちょうど東京オリンピック前に姿を見られるかもしれない。

【ダイハツTAFT スペック表】

寸法(全長×全幅×全高) 3,395mm×1,475mm×1,630mm
エンジン 660ccターボ
トランスミッション CVT
駆動方式 2WD
タイヤサイズ 165/65R15
乗員定員 4名

文・鈴木博之(フリーランスライター)
 

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