お茶の中に含まれるカテキン、特に緑茶の中に高濃度に含まれるピガロカテキンガレート(EGCG)が新型コロナウイルスを不活化することが分かった――。
試験管内で健常者の唾液中に新型コロナウイルスを加え、緑茶や紅茶で10秒間処理すると新型コロナウイルスは強く抑制される――。
20日、伊藤園公式YouTubeで開催された「第3回伊藤園健康フォーラム」で、京都府立医大の松田修教授は、いずれも試験管内の実験結果で、ヒトでの効果は臨床研究で今後明らかにする必要があると前置きした上で、このように述べた。
新型コロナウイルスの性質について、松田教授は「唾液の中に存在することで飛沫を通じて感染を広める」とし、口を通して体内に入る経口での感染対策には有効の可能性を示す一方、鼻腔からの感染対策には「あまり役に立たないと推察している」。
治療効果も見込めないことから、松田教授が期待するのはお茶の公衆衛生学的な活用。「ヒト試験の結果はこれからだが、感染者がお茶を飲むと唾液中のウイルスが低下する可能性がある。多くの人がお茶を飲むことで感染拡大を抑制するという効果が見込める。つまり予防や治療といった自分のためではなく、周囲の人ためにお茶を飲むことが非常に有効ではないかと推察している」と説明した。
ただ、N501Y変異株に対しては緑茶の不活化機能はやや劣るとし、「今までよりも、もう少し意識的にお茶を飲めば、変異株であっても感染拡大を抑制できる可能性はあるのではないかと考えている」。
ヒト試験は軽度の感染者に対象に行っていく。軽度感染者に、お茶をしばらく口に含んでから飲む「含み飲み」をしてもらい、その前後の唾液からウイルスを測定。ウイルスがどの程度持続するかなどを調べているという。
その進捗状況について松田教授は「京都市内の病院と一緒に臨床研究を行っているが、重度の方にはお願いすることができない。現在、重度の方が増えており軽度の方がなかなか入院できない状況で時間がかかっている」と語った。
なお、お茶の含み飲みは口腔ケアにも効果的とされる。東京大学大学院医学系研究科イートロス医学講座特任准教授の米永一理氏は「お茶でうがいをすると、歯周病菌の値が減少する可能性があることが報告されている。また、口腔が不潔だと血流に菌がのりやすく、口腔内の健康を保つことが非常に重要」と指摘している。
米永氏によると、歯垢1g当たり生菌1千億個あり、それらが影響する歯周炎などにもお茶が効果的であるとした。
提供元・食品新聞
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