ちょっとした隙間時間にできる脳トレゲームですが、実際に脳の力を高める効果はなかったようです。

カナダ・ウェスタン大学の研究チームは、最新研究で、脳を鍛えるオンラインゲームが、記憶、推理、言語能力などをどれほど向上させているかを調査。

しかし、各種能力は、脳トレゲームをしない人とまったく変わらないことが判明しました。

研究は、先月4月に『Journal of Experimental Psychology: General』に掲載されています。

目次

  1. 脳トレはいくらやっても効果がない?

脳トレはいくらやっても効果がない?

研究チームは、トロントに拠点を置くケンブリッジ・ブレイン・サイエンス(Cambridge Brain Sciences)を通じて、世界各地から8563名のボランティアを募集。

参加者にはオンライン上で、脳トレの習慣やトレーニング効果についての実感、使用しているゲーム等の質問に回答してもらいました。

その結果、全体の1009人が平均8ヶ月間(最低で2週間、最高で5年以上)脳トレゲームを続けており、その他の約7500人は脳トレを一切していないことが分かっています。

次に、参観者の脳力を調べるため、記憶力、推論力、言語能力などを評価する12の認知機能テストを実施しました。

その結果、すべての認知機能において、脳トレをしているグループが、していないグループに対し優位に立つことはありませんでした。

残念ながら、脳トレを1年半以上続けている熱心な人でも、認知機能が優れていることはなかったようです。

脳トレゲームは「効果ゼロ」と判明、いくらやっても認知機能は向上しないと明らかに
(画像=脳トレの期間に関係なく効果なし / Credit: jp.depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

研究主任で認知神経科学者のボビー・ストヤノスキー氏は「これは脳トレをした人の機能が最初に劣っていて、それが改善されて結果が同等になったわけではない」と指摘。

「脳トレ期間が1ヶ月未満で、まだプログラムの効果が表れていない参加者でも同じレベルの認知能力を示したからです」と説明します。

また、データをどのように切り取ってみても、脳トレが認知機能の向上につながっているという証拠は見つかりませんでした。

参加者の年齢、使用したプログラム、教育・社会経済的地位のいずれを分析しても、脳トレをしない人と結果は同じだったようです。

イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校の認知老化科学者であるエリザベス・スティン=モロウ氏は「脳トレをしても効果が得られない理由は分かっていませんが、脳トレにいくら時間を費やしても効果がないことは明らかでした。

今回は脳トレゲームの方がテストにかけられたのです」と述べています。

ストヤノスキー氏は「脳トレゲームによって、ある種の心理・精神的な能力が向上する可能性はありますが、実践的な認知機能には効果が期待できないでしょう」と結論しました。

脳トレゲームはあくまでも楽しみのためにするぐらいが良さそうです。

参考文献
Playing brain training games regularly doesn’t boost brainpower

元論文
Brain training habits are not associated with generalized benefits to cognition: An online study of over 1000 “brain trainers”.


提供元・ナゾロジー

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