1992年に創設し、わずか数年で100年以上もの歴史あるブランドと肩を並べ、業界のトップへと上り詰めたフランク ミュラー。
他社には真似のできないユニークな機構の数々や、豊かな想像力を感じさせるオリジナリティー溢れるデザインは、時計愛好家だけでなく、多くの人々を魅了し続けている。
今回は、そんな同ブランドが、“WPHH2021”で発表した新作を紹介していきたい。
新作ひとつ目は、複雑時計の名匠であるフランク ミュラーが手掛けた、グランドコンプリケーションへの新たなる挑戦として開発した“グランド セントラル トノウ カーベックス”だ。シルバーの文字盤にステンレススチールのケースが映えるモデルと、ブラック文字盤と18金ピンクゴールドケースがラグジュアリーな雰囲気を纏うモデルをラインナップに揃える。
“グランド セントラル トノウ カーベックス”
何と言っても最大の特徴は、時計中央へ印象的に配されたトゥールビヨンだろう。
トゥールビヨンを文字盤中央に配するためには、一般的な輪列配置を変更し、この構造に適した時刻の表示形式を再構成することが必要となる。時計設計をゼロベースから組み直し、長期間にわたる試行錯誤の末に考案されたのが、トゥールビヨンケージの外周に時針と分針を配置する革新的な手法であった。
本モデルのために、代表コレクションである“トノウ カーベックス”のケースフォルムを再設計し、サファイアクリスタルガラス風防をベルトの位置まで拡張したことで、文字盤の視認性を大幅に向上。さらに、ベゼルとケースをそれぞれのパーツで設けることで、美しい2色仕上げを実現している。
リデザインにより、オリジナルとは異なる新しい外観に生まれ変わりながらも、三次元曲線が生む優雅な曲線美を余すところなく表現している点が非常に魅力的。ベゼルを細いデザインにしていることで、文字盤全体が視認できるように変更するなど、技術的な困難を解消したことで、“トノウ カーベックス”の美点を現代的にブラッシュアップさせた、新たなラインナップに仕上げられている。
ケースバックはオープンワークとなっており、“コート ド ジュネーブ”など伝統的な装飾を堪能することができる。
また、同ブランドのグランドコンプリケーションとしては珍しく、自動巻きムーヴメントを採用されており、マイクロローターにより約4日間のパワーリザーブを備えている。
二つ目の新作は、ブランドの美意識と哲学を体現した “ヴァンガード クレイジー アワーズ”だ。
“ヴァンガード クレイジー アワーズ”
ランダムに配置された数字の間を針がジャンプして時刻を示し、時計の針は規則的に運針するという常識を破壊した“クレイジー アワーズ”。“時への反逆”ともいえる複雑機構と、アール・デコ様式“ストリームラインモダン”の美意識を取り入れたモデルである“ヴァンガード”を融合したのが“ヴァンガード クレイジー アワーズ”だ。
そんな同コレクションに、18金ピンクゴールドとステンレススチールのコンビネーションケースを備える限定モデルが追加された。
ブランド独自の機構であるクレイジーアワーズの魅力は何と言っても、1時間に一度、時針がジャンプをして時刻を指し示すという点だろう。針をジャンプさせる際にパーツに負荷が掛かることから、この機構を実現するには卓越した技術力が必要で、創業者の“時間は流れるのではなく、飛び越えるものである”という哲学が反映されている。
また本モデルには、ギョーシェ装飾が施された美しい文字盤に、時を飛び越える先はひとつではないことを示唆する隠し文字が描かれている点も見逃せない。
ブラックダイアルとホワイトダイアルの2種類で展開され、各世界限定50本の販売となる。
【問い合わせ先】
フランク ミュラー ウォッチランド東京
03-3549-1949
文・川田健人/提供元・Watch LIFE NEWS
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