こんにちは、イタリア・シチリア在住ライターのサエコです。
世界中が新型コロナウイルスに翻弄されてすでに1年以上が経ちました。ちょうど1年前の5月にイタリアのロックダウンに関する記事を書きましたが、その時には来年の今頃にも同じテーマで記事を書いているとは想像していませんでした。
しかし、目に見えない敵に恐怖しか抱いていなかった去年とは違い、今年はワクチン接種が進んでいることもあり、過ごし方や戦い方が分かってきたと言ってもいいでしょう(良くも悪くも「慣れてきた」とも言えますね)。
さて、観光立国であるイタリア。夏の観光シーズンに向けてどのように活動が再開されるのか注目されていましたが、4月下旬に再開へ向けたロードマップが発表されました。イタリアはどうやって夏を迎えるのでしょうか?ワクチン接種状況とともにお伝えします。
イタリアのワクチン接種状況
イタリアでは2020年12月末からワクチン接種がスタートしました。
筆者が住むシチリアでは、州都パレルモにワクチンの一便が到着。シチリアでのワクチン接種第一号となった人は、たくさんの取材陣に囲まれながら接種を受け、終わったときには拍手が沸き起こりました。
それから約4か月後の5月3日現在、イタリアでは約1,450万人(全人口の約24%)が1回目のワクチン接種を終え、約600万人(全人口の約10%)が2回目の接種を終えています。また、80歳以上の方に限っていうと、90%弱が1回目の接種を終え、70%弱が2回とも接種を終えているようです。
イタリアのゾーン別措置
昨年秋の第二派があってから、イタリアでは州をレッドゾーン・オレンジゾーン・イエローゾーン・ホワイトゾーンの4つに区分してゾーン別に措置を取ってきました(正確にはホワイトゾーンは後から追加されました)。レッドゾーンが最も規制が厳しく、色が薄くなるにつれて規制が緩くなります。
なお、シチリア州は5月3日現在オレンジゾーンに区分されているものの、自治体単位でレッドゾーンに指定されているところがあります。
規制の詳しい内容については在イタリア日本大使館ホームページにて確認できます。
そして今回の観光シーズンへ向けた再開のロードマップも、このゾーン別措置をベースに決められています。
夏の観光シーズンへ向けたロードマップ
現在提示されているのは次の5つのステップです。
第1ステップ:4月26日
イエローゾーンにおいて、
- スポーツ活動の再開(更衣室の利用は禁止)
- レストラン、バールは屋外のみテーブルサービス可(ただし22時まで)
- 映画館、劇場の再開(屋外は制限なし、屋内は人数制限あり)
第2ステップ:5月1日
イエローゾーンとオレンジゾーンにおいて、
- 4人(未成年は含まない)での親戚・友人の訪問が可能に
第3ステップ:5月15日
イエローゾーンにおいて、
- 屋外プールが再開
第4ステップ:6月1日
- ジムの再開(ただし人数制限あり)
- イエローゾーンでは、店内でもテーブルサービスを再開(ただし18時まで)
第5ステップ:7月1日
- 温泉施設やテーマパーク、見本市や会議などの再開
5月3日現在、レッドゾーンに指定されているのはヴァッレ・ダオスタ州、オレンジゾーンに指定されているのはバジリカータ州、カラブリア州、プーリア州、シチリア州、サルデーニャ州で、その他の州はイエローゾーンです。このゾーン区分は毎週見直されます。
オレンジゾーン以上に指定されているのは、シチリア州をはじめ南イタリアの州が多いのですが、早くイエローゾーンになって経済活動ができるのを、みんな首を長くして待っています。
グリーンパスの導入とイタリア国内での動き
EU内で7月に導入予定の「グリーンパス」も、観光シーズンを迎えるにあたって重要なポイントです。このグリーンパスがあれば、EU内の移動ができるようになります。
このグリーンパス制度ですが、イタリア国内でもレッドゾーン(最も規制が厳しいゾーン)の行き来に利用しようという動きがあります。ワクチン接種が済んでいる人か、あるいはコロナに罹患したがすでに回復しているという証明があれば6か月間有効のパスを、検査をして陰性であった人は48時間有効のパスを取得できます。
さいごに
今回は、イタリアのワクチン接種状況と夏の観光シーズンへ向けたロードマップについてお伝えしました。
イエローゾーンになれば元通りになるかというとそうではなく、苦しい経済状況はすぐには変わらないでしょう。ただ、先が見えない状況が一番苦しいのではないでしょうか。ロードマップの通り進むかは別として、このような提示があること、そしてワクチン接種率の数字が上がっていくこと、グリーンパスの導入など、経済活動につながる動きを感じられるだけでも気持ちが全然違うのではないかと個人的には思います。
1日でも早く、国内外から来るたくさんの観光客を、持ち前の陽気さと笑顔で迎えるイタリアの姿が見られることを願っています。
文・写真 サエコ/提供元・たびこふれ
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