知名度に対して意外としっかり読んでいる人は少ないが、大まかな内容は非常に有名な作品、『西遊記』はその代表格ではないだろうか。

たびたびドラマなどでモチーフにした作品が登場することや、何かとインパクトのあるワードが見られたりとその要因は推測しやすいが、原典を読むと驚くエピソードも多い。

それらを全て拾っていくと相当な量になりそうなので、今回は仏教雑学ということもあり、少しでも絡みのある三蔵法師とその馬をテーマとしたい。

まず、三蔵法師こと玄奘については以前触れたので省略するが、その乗馬は白馬である。原作では玉龍という名なのだが、本名を明かさない通例により小龍や小白龍などの名が使われる。

これは当然ただの馬ではなく、正体は龍神の子だ。なぜ馬になっているのかというと、かつて西海龍王敖閏(ごうじゅん)の宝玉を火事で焼いてしまった罪で天帝に死罪とされるところを、通りかかった観音菩薩の慈悲で救われたためだ。

しかし、すぐに無罪放免というわけにいかず、天竺へ経典を求める人の足となるという交換条件だったため、小白龍は蛇盤山の鷹愁澗(ようしゅうかん)という谷川で待機することとなった。

そして、五行山で孫悟空をお供にしたばかりの三蔵法師がここへやってくるのだが、小白龍はその使命を忘れていたばかりか、空腹のために三蔵法師の馬を飲み込んでしまう。三蔵法師は腰を抜かしてしまい、悟空は逃げながら戦う龍に決定打を与えられなかったため、土地神と山神を呼び出し、対処法を聞き出そうとする。

すると、大元の観音菩薩が来れば観念するだろうということで、悟空は観音菩薩を呼び出し、事の顛末を報告する。それを受けた観音菩薩はまじない的なもので小白龍を馬の姿にし、以後は三蔵法師の乗馬として最後まで旅に付き添うこととなる。

この後は基本的にはずっと馬のままなのだが、一度だけ龍となるシーンがある。それは黄袍怪(こうほうかい)との戦いで、三蔵法師は虎に変えられて捕らわれ、悟空ら弟子達も散り散りという大ピンチに際してだ。小白龍は龍となって黄袍怪と戦うが敵わず、結局は悟空に助けを求めることとなる。

私が再放送か何かで見たドラマではたまに馬が藤村俊二さんになっていたが、この設定は一応原作に即したものといえるようだ。

提供元・QUIZ BANG

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