時刻が正確なことでも知られる電波ウオッチ。実はこの電波ウオッチには大きく2種類ある。 ひとつは昔からあるタイプの、いわゆる標準電波ウオッチで、もうひとつは2010年代前半に台頭したGPS電波ウオッチだ。ただこの違いを、時計好き以外で理解している人は意外と少ないのではないだろうか。そこで今回は、GPSウオッチと電波ウオッチの違いについて改めて解説していきたい。

電波ウオッチは、文字どおり電波を受信する機能をもつ腕時計のことだが、それぞれは受信している電波が異なる。GPSウオッチが“GPS衛星電波”の受信アンテナを搭載するのに対し、従来の電波ウオッチでは地上の電波塔から発せられる“標準電波”の受信アンテナが搭載されているのだ。

【知っておきたい腕時計の基本】GPS電波ウオッチと標準電波ウオッチでは、どちらのほうが正確?
(画像=1985年の世界初の電波クロックに続き、1990年に世界初の電波時計としてユンハンスが製造したメガ1。ドイツでの単局受信モデルで、デザインはMacなどで有名なデザイングループ、フロッグデザインが担当した。画像:ユンハンス、『Watch LIFE NEWS』より引用)
【知っておきたい腕時計の基本】GPS電波ウオッチと標準電波ウオッチでは、どちらのほうが正確?
(画像=世界初のクォーツウオッチ“アストロン”の名を受け継ぐセイコーの世界初のGPSソーラーウオッチ。地球上のあらゆる場所で位置情報を取得。簡単なボタン操作ひとつで現在地の正確な時刻情報を表示するまさに究極の精度と利便性を実現した。2012年発表。セイコーウオッチ、『Watch LIFE NEWS』より引用)
【知っておきたい腕時計の基本】GPS電波ウオッチと標準電波ウオッチでは、どちらのほうが正確?
(画像=GPSウオッチでは、GPS衛星(左)からの電波を受信し、従来の電波ウオッチでは、各地に点在する標準電波送信所(右)からの電波を受信する、『Watch LIFE NEWS』より引用)

いずれの電波にも発せられる信号に時刻情報を含んでいるため、これを時計の時刻表示に反映させ、時刻の正確性を保つというのが電波ウオッチの仕組みだ。 またいずれも数千年、高精度なものだと数千万年に1秒の誤差とされる超高精度な原子時計の時刻情報を取得しているため、時刻の正確性が極めて高いというのが大きな特徴だ。 ただこの電波を受信する際には一定の電力を消費するため、常に電波を受信しているというわけにはいかない。そこで普段は時計に内蔵された主にクォーツムーヴメントによって時を刻み、定期的に行われる電波受信によって時刻に補正する、という仕組みとなっていることが一般的だ。

いずれも原子時計の時刻情報がもととなっているため、どちらのほうが正確かというのは、実は一概には言えない。あえて言えば内臓されたクォーツムーヴメントの精度や電波の受信頻度次第とも言えるが、それも誤差を実感できるレベルではないだろう。 ただ、電波ウオッチの場合、電波を受信できるエリアがある程度限定されてしまうという弱点がある。海外には標準電波を受信できないエリアがまだ多くあり、対してGPSウオッチの受信エリアは世界中だ。こう聞くとGPSウオッチのほうが優秀なようにも感じるが、こちらにも消費電力が大きいなど弱点がある。

【知っておきたい腕時計の基本】GPS電波ウオッチと標準電波ウオッチでは、どちらのほうが正確?
(画像=『Watch LIFE NEWS』より引用)

それぞれにメリットデメリットがあるため、もしどちらを購入するか迷った際には、これらを踏まえてチョイスしたい。


文・堀内大輔/提供元・Watch LIFE NEWS

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