プライドが高く自己陶酔的な人はナルシスト(またはナルシシスト)と呼ばれ、ネガティブな人格として捉えられています。
しかし、最近イタリアでおこなわれた調査によると、ナルシストは他の人よりも早くCEO(最高経営責任者)になると判明しました。
詳細は12月11日付けの学術誌『The Leadership Quarterly』に掲載されており、イタリア・ボーゼン-ボルツァーノ大学経済経営学部に所属するパオラ・ロヴェリ氏ら研究チームによって発表されました。
目次
ナルシストは他の人よりもCEOになる確率が29%高い
ナルシストは会社全体に悪影響を与える
ナルシストは他の人よりもCEOになる確率が29%高い
研究チームは、「CEOはビジネスにおいて非常に大きな影響力を持つ人物です。実際、彼らは企業の戦略、運営、財務実績における責任を負っています」と述べました。
そして「CEOを観察し、どの特性が彼らの思考と意思決定に影響を与えるか理解することは大切です」とも付け加えています。
そのため研究チームは、イタリアのCEO172人を対象に、その特性を調査することにしました。
結果として、ナルシストの主要な特性(外向的、自信過剰、自尊心、支配的、権威主義)スコアが高い人は、入社して一定期間経過した後、CEOに任命される可能性が高いと判明。
研究では、ナルシズム(またはナルシシズム)レベルがいくつかの段階に分けられており、標準よりも1段階上のナルシズムレベルを持つ人はCEOになる確率が29%高くなっていました。
また、非常に高いレベルのナルシズム(標準より2段階上)でさえ、CEOに任命される可能性を高めていたとのこと。
さらに研究チームの予想に反して、会社が家族経営であったとしてもナルシストはCEOになりやすいという結果が出ました。
最終的にロヴェリ氏らは、「ナルシズムは、他の人よりも早くCEOの地位を獲得するのに役立つ」と結論付けています。
ナルシストは会社全体に悪影響を与える
もちろん、今回の調査結果は、ナルシズムによる悪影響を否定するものではありません。
ロヴェリ氏によると、「ナルシズムレベルの高い人は、金融犯罪、脱税、協調性の低下など、会社に良くない影響を及ぼすことで知られています」とのこと。
またいくつかの研究では、ナルシズムなCEOが会社全体のコミュニケーションの流れを妨げ、従業員の満足度も低下、報酬を不平等にしているとの結果が出ています。
ですから、ナルシズムな個人はCEOに早い段階で任命されやすいものの、その後、会社全体に悪影響を及ぼすおそれがあると言えるでしょう。
そのため研究チームは、「ナルシストな人が任命されやすいのは事実だが、企業は任命するときに注意を払うべきである」と警告しました。
加えてチームは、「個人が特徴的なナルシズムを獲得するのは、ビジネスで権力を獲得した後かもしれない」と指摘。
今後は、人生においてナルシズムがいつ現れるのかを調べるために、長期的な測定を開始する予定です。
また不況とナルシストのCEO任命にどのような関係があるかも調査するとのことです。
参考文献
Narcissists make their way to CEO positions faster than their counterparts, study finds
元論文
The perks of narcissism: Behaving like a star speeds up career advancement to the CEO position
提供元・ナゾロジー
【関連記事】
・ウミウシに「セルフ斬首と胴体再生」の新行動を発見 生首から心臓まで再生できる(日本)
・人間に必要な「1日の水分量」は、他の霊長類の半分だと判明! 森からの脱出に成功した要因か
・深海の微生物は「自然に起こる水分解」からエネルギーを得ていた?! エイリアン発見につながる研究結果
・「生体工学網膜」が失明治療に革命を起こす?
・人工培養脳を「乳児の脳」まで生育することに成功