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ニコニコしているあの人が「うつ」?

「微笑みうつ」は一般的なうつよりも危険


ニコニコしてても「うつ病」? 自覚しにくい「微笑みうつ」に要注意

(画像=『ナゾロジー』より 引用)

ニコニコしているあの人が「うつ」?

一見幸せそうに見えるあの人も、実は「うつ」に苦しんでいるかもしれません。

うつ病には「寝たきり」や「体の機能不全」といったイメージがありますが、必ずしも全員がそうとは限りません。アメリカ国立衛生研究所の調査によれば、アメリカにおいて全人口の実に「10%」もの人々がうつ病に苦しんでいるとのことです。

そしてその症状も一様ではありません。中には、自分でうつ病である自覚がない人さえいます。笑ったり、明るく振る舞ったりして、ふつうに生活をやりくりできている人が、同時にうつ病を発症しているなどとは夢にも思わないのです。

これこそが「smiling depression(微笑みうつ)」の問題であり、世間にはこの症状に苦しんでいる人々がいます。つまり、彼らは表向きは幸せそうに笑っているものの、その内面ではうつの症状に悩まされているのです。この症状はしばしば見逃されがちであり、本人も「自分が弱いだけ」などと思い込み、症状を軽視してしまうことが多いのです。

「微笑みうつ」の症状を持つ人々は、悲しみなどを抱えた自分の本当の気持ちを隠し通すために、笑顔で表情にフタをしています。そうした無理のある行動は、「不安」「怒り」「疲労」「イライラ」「絶望」などといった多くのネガティブな感情につながってしまいます。また、それが原因で不眠になったり、何事にも楽しめなくなったり、性欲が減退してしまうこともあるのです。

「微笑みうつ」は一般的なうつよりも危険

彼らはまるで「マスク」をしているかのように、抱える問題の「ヒント」を外部に対して与えようとしません。マスク越しには充実した私生活を送っているように見えても、マスクを取った「本当の顔」は本人にしか分からないのです。中には自殺願望さえ持っている人もいるでしょう。

自殺願望は、うつの典型的な症状です。そして、クラシカルなうつと比べて「微笑みうつ」の方が危険であるとされる要因はここにあります。一般的なうつの場合は自殺願望を持ったとしても、それを実行するエネルギーさえも湧いてこない状態が多いのに対し、微笑みうつの場合は行動力を伴うため、その願望を何かのきっかけで実現しかねないのです。

もし周りに「微笑みうつ」の疑いのある仲間がいれば、すぐにでもカウンセリングや心理療法を勧めてみてください。適切な治療によって精神状態が改善していくことは大いにありえることです。しかし、あなたが提案を切り出しても最初はあまりいい顔をされないでしょう。「うつ」という響きがとても大げさに感じてしまうのです。しかし、彼らが自分から「マスク」を外せないのであれば、周囲の人が気づいてあげるしか方法はありません。

また、カウンセリングや治療を受けなかったとしても、心をオープンにすることで少しは楽になることも考えられます。家族や友人などと、この問題について話し合ってみましょう。その際、決して話を重くしてしまってはいけません。人はいつでも自分に近しい人を「助けたい」と思っているものです。思い切って心を開いて、1人ではなくチームでこの問題に対処していきましょう。

この研究は2019年1月27日に公開されたものを再編集して作成しています。

参考文献
The Secret Pain of “Smiling” Depression

ライター:ナゾロジー 編集部

編集者:やまがしゅんいち
高等学校での理科教員を経て、現職に就く。ナゾロジーにて「身近な科学」をテーマにディレクションを行っています。アニメ・ゲームなどのインドア系と、登山・サイクリングなどのアウトドア系の趣味を両方嗜むお天気屋。乗り物やワクワクするガジェットも大好き。専門は化学。将来の夢はマッドサイエンティスト……?。

提供元・ナゾロジー

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