現在、人工的に雨を降らせる「人工降雨」は、航空機やロケットで雲にドライアイスやヨウ化銀などを散布する方法がとられています。
イギリス・バース大学電子工学科に所属するケリ・ニコル氏ら研究チームの報告によると、ドローンで雲を刺激して雨を降らせる新しい技術を開発中とのこと。
研究の詳細は、1月7日付の科学誌『Journal of Atmospheric and Oceanic Technology』に掲載されました。
ドローンで電荷を雲に放出して雨を降らせる
開発中の新技術は、「ドローンで雲を刺激する」というはじめての試みです。
ドローンには電荷放出装置やセンサーが搭載されており、地上のオペレーターによって遠隔操作されます。
ドローンを雲に向けて誘導したのち、雲に向けて電荷を放出。
これにより雲の中の水滴に電荷が付着&帯電し、水滴同士が引き付け合います。
そして雲の中の水滴が十分大きくなると、雨となって地上に降り注ぐのです。
当然ながら雲は本来、正と負の電荷をもっています。
しかしドローンから放出された電荷によってそのバランスが変わるので、結果として水滴の成長速度が加速します。
つまりこの新しい方法とは、「雲を電荷で刺激して雨が降るタイミングを早める」というものなのです。
ニコル氏は新技術について次のように述べています。
「この新しい技術は確立された人工降雨技術に取って代わるものではありません」
「しかし、既存の技術と一緒に活用することで、人工降雨の効率を最大化できます」
ドローンは既に開発済みなので、今後数か月以内にアラブ首長国連邦で実証テストが行われます。
現在、アラブを含む多くの国は水不足に悩まされています。
ニコル氏は、そんな乾燥地帯の水不足を少しでも緩和させるために今後も研究を続けていく予定です。
参考文献
A new method to trigger rain where water is scarce
元論文
Demonstration of a Remotely Piloted Atmospheric Measurement and Charge Release Platform for Geoengineering
提供元・ナゾロジー
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