2017年に米国で最も売れたSUVのトップ3を、トヨタRAV4、日産ローグ、ホンダCR-Vの日本車が独占した。

ランキングを作成した自動車価格情報サービス、ケリー・ブルー・ブックによると、2017年の全米販売台数1720万台のうち、ほぼ40%がSUVだった。2016年から1.8%減とはいえ、SUV人気はまだまだ続くと予想されており、ゼネラルモーターズ(GM)のビュイック「エンスパイア」、テスラの「モデルY」、ジャガー の「I-PACE」など、環境を配慮したEVクロスオーバーSUVも続々と市場に投入される予定だ。

米国で売れたSUVトップ12と2017年の総販売台数

12位 ジープ・チェロキー 17.0 万台(2016年比14.9%減)
11位 スバル・フォレスター 17.8万台(0.6%減)
10位 スバル・アウトバック 18.9万台(3.3%増)
9位 ジープ・ラングラー 19.1万台(0.7%減)
8位 トヨタ・ハイランダー 21.65万台(12.7%増)
7位 ジープ・グランドチェロキー 24.1万台(13.4%増)
6位 フォード・エクスプローラー 27.1万台(9.1%増)
5位 シボレー・エクイノックス 29.0万台(19.9%増)
4位 フォード・エスケープ 30.8万台(0.4%増)
3位 ホンダ・CR-V 37.8万台(5.8%増)
2位 日産・ローグ 40.3万台(22.3%増)
1位 トヨタ・RAV4  40.7万台(15.7%増)

最も売上が伸びた日産ローグ、トヨタRAV4との差はわずか4000台

米国で最も売れているSUV、トヨタRAV4。クロスカントリーSUV車の先駆け的存在だけあって、SUVスムースな走行、安定性、スタイリッシュなデザイン、環境への配慮などが高評価を受けている。

CR-Vより車体が3インチ長いだけでかなり広く感じるというが、日産ローグやスバル・フォレスターのような機敏さに欠けるとの指摘もある(ビジネス・インサイダー2018年1月4日付記事)。 

初代の発売は1994年。4代目は日本では未発売だったが、2019年春に発売予定の5代目は再び日本にも投入される 。

RAV4を着実に追い上げているのは日産ローグだ。前年から売上22.3%増で、あと4000台まで差を縮めてた。トップ12中、最も需要が伸びている。ほかにもシボレー・エクイノックスが19.9%増、ジープ・グランドチェロキーが13.4%増、トヨタ・ハイランダーが12.7%増と好調だ。対象的にジープ・チェロキーは14.9%減と大きく失速した。

「未来の車はSUV」は環境への負担が難点?

SUVの需要は米国だけではなく、中国やオーストラリアなどでも高まっている。小型セダンからSUVへ乗り換える消費者が増えているという。大雪や山道といった悪条件でも難なく走行し、室内やラゲッジスペースが大きいので6~8人乗りに対応したり、沢山の荷物を積み込める。ひと昔前はデメリットとされていた走行性や乗り心地、燃費の悪さもある程度改善され、実用性の高さを兼ね備えた普通の乗用車に近い存在になりつつある。

電気自動車や自動運転車の市場参入・開発が加速する中、「未来の車はSUV」 との声すら挙がっている。しかし環境への配慮という点ではどうなのか—という疑問も根深い。現代人の生活スタイルに合っているが、環境には害になるとの懸念である。

米国環境保護庁によると、世界の温室効果ガスの排出量の14%は交通によるもので、車やトラックが大きな割合を占めている。世界の新車の平均的な燃費は2005~08年にかけて毎年 1.8%向上したものの、15年には1.1%まで落ち込むなど、環境問題の緩和に貢献する水準にはほど遠いことがグローバル燃費イニシアティブ の調べから明らかになっている(ニューヨークタイムズ紙2018年3月3日付記事) 。

ニューヨーク・タイムズ紙が2018年3月3日に報じたところでは、小型車に比べると一般的なSUVの燃費は30%悪い。そこで注目を集めているのが、EV系のSUV開発である。

大手メーカーがEV SUV開発中 2019年~登場予定のモデルは?

現時点でそれを実現しているのは、2015年の発売から4万台を売り上げている。テスラの「Model X」のみ。ライバルが市場に参戦する余地は十分にある。

EVへ生産基盤を移行中のゼネラルモーターズは2018年3月、2.6億ドル(約285億円*2018年5月10日レート、1ドル=109.45円で換算)をカンサスの工場に投じ、キャデラックXT4コンパクト・クロスオーバーを生産する計画を明らかにしている。価格は3.6万ドル(約394万円)前後~になると予想されている。4月には新型EV  SUVのビュイック「エンスパイア」の詳細も発表している。

日産自動車は3月、コンセプトカー「IMx」のEVクロスオーバーSUVを2020年までに発売する意向を発表(クリーン・テクニカ2018年3月20日付記事 )。テスラの「Model Y」も2020年前半に登場予定であることが、イーロン・マスクCEOの発言 から確認されている。

フォルクス・ワーゲン は2020年までに20種類のSUV販売を目指しているが、その中には「ID Crozz」をベースにしたEV SUVも含まれる。そのほかジャガー の新型「I-PACE」、アウディの「 e-tronクアトロ」、メルセデスベンツの「EQ」など2019年以降はSUVならぬEVSUV戦が繰り広げられるだろう。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online
 

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