キノコは食物繊維、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質の優れた供給源として知られています。

最近、アメリカ・ペンシルベニア州立医科大学の薬理学者ジョン・リッチー氏ら研究チームは、キノコとがんに関する17の研究を分析した結果を発表しました。

論文によると、毎日キノコを18g食べている人は、キノコを食べていない人と比べてがんのリスクが45%低くなったとのこと。

研究の詳細は、3月16日付の学術誌『Advances in Nutrition』に掲載されました。

目次
キノコはがんのリスクを減らす
乳がんや前立腺がんに対して特に効果的かもしれない

キノコはがんのリスクを減らす

毎日キノコを食べると「がんのリスクが45%減る」という研究
(画像=毎日18gのキノコががんに効果的 / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

キノコには希少なアミノ酸誘導体「エルゴチオネイン」が含まれており、独特の抗酸化作用と抗炎症作用があります。

研究チームの一員であるペンシルベニア州立医科大学のジブリル・バ氏は、「体内に抗酸化物質を補充すると、酸化ストレスから保護され、がんのリスクを下げるのに役立つかもしれない」と述べています。

そこで研究チームは、1966年から2020年に発表されたキノコの摂取とがんに関する複数の研究を調査。

これにより彼らは、1万9500人以上のがん患者を含む17の研究を特定し、これらをメタ分析することにしました。

分析の結果、キノコを毎日18g(約1/8~1/4カップ)食べた人は、キノコを食べなかった人に比べてがんのリスクが45%低くなったとのこと(ちなみに、しいたけ1個で15gです)。

乳がんや前立腺がんに対して特に効果的かもしれない

毎日キノコを食べると「がんのリスクが45%減る」という研究
(画像=キノコが特定のがんに効果的との研究結果も / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

特定のがんに注目して分析すると、キノコと乳がんリスクの低減にもっとも強い関連性があると判明。

ただし研究チームによると、「これはほとんどの研究に、他の形態のがんが含まれていなかったことが原因かもしれない」と説明しています。

ちなみに2019年の日本・東北大学の研究では、キノコを週に3回以上摂取した人は、週に1回未満の人に比べて前立腺がんのリスクが17%低くなったとの結果も出ています。

もちろん研究チームが述べているように、「キノコの影響を受けやすいがんを正確に特定するには、さらなる研究が必要」です。

まだ不明な点が多いとはいえ、メタ分析で示されたように、毎日キノコを少量食べることは、がんのリスク低減に関係ありそうです。

がんが心配な方は、毎日の食卓にキノコを加えてみてはいかがでしょうか?


参考文献

Mushroom Consumption May Reduce Risk of Cancer

Eating just one medium mushroom a day can reduce your risk of CANCER by 45%, study claims

元論文

Higher Mushroom Consumption Is Associated with Lower Risk of Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis of Observational Studies


提供元・ナゾロジー

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