ニューヨーク、ロンドン、ムンバイ、メルボルン、東京。これらの共通点は何でしょうか?
それはいずれも大都市であるということ。さらにハトがたくさん生息しているということです。
しかも、大都市ニューヨークには「ニューヨーカーごとに1羽のハトがいる」との格言があるほど、その数は膨大なのです。
基本的に動物や鳥は自然豊かな場所に好んで生息します。
ではなぜハトだけが都市部にたくさん生息しているのでしょうか?
ハトが都市に集まっている理由を解説します!
目次
ハトの起源は? 都市では食料と住処が簡単に手に入る。余った時間は交尾に費やすハトたち ハトのナビゲーション能力と都市の捕食者不足
ハトの起源は?
もともとハトは海辺の崖に生息していました。しかし人間が農業と畜産の技術を学ぶにつれて、ハトは「食料」または「ペット」として飼育されるようになったのです。実際、ハト小屋と呼ばれるハト専用の家が建てられるようになり、ヨーロッパやアジアでは今でも見られます。
昔、人はハトを好んで近くに置いており、巨大なハト小屋を建てることは名誉なことでした。
16世紀にはヨーロッパ人が北アメリカに移住する際にハトも連れていき、そのいくつかはアメリカの都市で爆発的に増加しました。
では、なぜハトは都市で増加したのでしょうか? 実は都市の特徴がハトの生活と絶妙にマッチしていたのです。
都市では食料と住処が簡単に手に入る。余った時間は交尾に費やすハトたち
ハトが人口密集している都市を好むのは、食料入手に困らないからです。他の鳥とは異なり、ハトは人間の食物で簡単に繁殖できます。実際にニューヨークでは、ベーグル、ドーナツ、パン、ポテトチップスなど人々の食べ残しを食べる様子が観察されています。
またハトは元々、海の近くの崖の上に巣をつくります。そして都市に移住したハトたちは、崖と同じような構造のビルをたくさん見つけたのです。
彼らはゴツゴツとした岩場の崖を好みます。同じように都市のコンクリートや大理石、建造物などを好むのでしょう。
実際、ハトが元々備えている「硬い構造物に営巣する技術」を適用できる場所が都市には豊富に存在します。
ハトにとって都市は、食料と居住問題を一気に解決してくれる場所だったのです。
では便利な環境により時間ができたハトは何をしますか?
それは交尾です。ハトは一年中繁殖可能な種であるため、より多くの時間を交尾に費やすようになったのです。
これにより特定の都市ではハトの増加傾向は制御不能であり、爆発的な増加が続いています。
ハトのナビゲーション能力と都市の捕食者不足
ハトの優れたナビゲーション能力も、都市での生活に適しています。実際、ハトは数百~数千キロメートルにわたって正確に移動でき、その能力は「鳩レース」に生かされています。
研究によるとハトが低周波信号を使用し、独自のマップを作成できるかもしれないとのこと。
また、ハトの目は5つの色受容体を有しており、3つの色受容体をもつ人間では想像もできない光景を見ていると言われています。
低周波信号と5つの色受容体が複雑な街並みで生活するのに役立っているのです。
さらに、都市部における捕食者不足もハトに有利なかたちで働いています。
ハヤブサやタカは頂点捕食者として君臨してきましたが、彼らの数は都市で減少しています。
これには殺虫剤DDTの使用によって、猛禽類の卵の殻が非常に薄くなったことも関係しているかもしれません。
さて、ハトが都市にたくさん生息する理由は、ハトにとって都市が食料と住処に困らない場所であり、それにより交尾の時間が増えたからでした。
またハトのナビゲーション能力や捕食者不足も都市生活に都合の良いものだったのです。
ハトが爆発的に増加するにつれて、私たちとハトの関係は変化してきました。
かつて仲間として連れてきたハトも、今では害鳥として認識している人が多いのではないでしょうか。
提供元・ナゾロジー
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