実用時計にこだわる、ポートランドを拠点にした日本未上陸のマイクロブランド
“VERO(ベロ)”は2015年、アメリカ西海岸のオレゴン州・ポートランドでクリス・ブードローと・ダニー・レコードンによって創設された日本未上陸のマイクロウオッチブランドである。
ブランド名の“Vero”とはイタリア語で“真実”を意味しており、創業者の2人はこの言葉をブランドコンセプトにしながら、 “スポーツウォッチの耐久性と、デイリーユースに適した着用感”を兼ね備えた時計を適正な価格で展開している。
元プロトライアスリートでもあり、小売業界でビジネスに携わった経歴をもつ創業者のクリス・ブードローは、自身も時計コレクターであり、以前から自分で製品を作りたいという願望をもっていたようだ。
きっかけとなったのが、長男が生まれたときに両親から譲り受けた祖父の時計、1979年製のロレックスであった。この時計を着けてみたブードローは、しっかりと作られた機械式時計が驚くほど長く使えることを体験し、時計に魅了されていった。
新興時計ブランドの多くはアジアから部品を調達して組み立てるビジネスモデルを採用しているが、 ブードローはそうしたどこにでもある時計ブランドにはなりたくないと考えていたようだ。
“VERO(ベロ)”では文字盤やリューズなどパーツの設計に加え、外装に使用する部品のほとんどをポートランド北部にある工房で製造している。ムーヴメントはスイス製、針はフランス製だが、パーツの供給を受けるパートナー会社の情報に加え、自社が時計製造に関して何をしていて、何をしていないかの透明性を保ち、少量生産にこだわることで、手頃でありながら高い品質管理を可能にしているのだ。
また、“VERO(ベロ)”は適正な価格と品質を備えた時計を提供するだけでなく、長く愛用できる時計を販売することも使命であると考えているようだ。時計業界でも珍しい10年保証を付けているのも特徴のひとつ。公式サイトに記載された”No Questions Asked Warranty “は、直訳すると“問答無用の保証”である。この異例の保証期間には、品質に対する自信と、ユーザビリティーの対する強いこだわりをうかがうことができる。
アメリカの時計ブランドを見ても、ポートランドを本拠地として、地元の工場でパーツの製造を手がけるブランドは珍しい。“VERO(ベロ)”のビジネスモデルが成功を納め、ポートランドが将来的にアメリカ時計産業の拠点のひとつとなるかどうか、とても興味がある。ポートランドで後発のブランドが登場し、ベロ・ウォッチのようにユーザーを満足させていくことに期待したい。
VERO(ベロ)
クラウンポイント
2015年の創業以来、“VERO(ベロ)”ではベーシックな3針モデルを展開してきたが、“オープンウォーター”と名付けられた最新シリーズで、同社では初となるダイバーズウォッチをラインナップ。この新作は、拠点としているポートランドエリアに敬意を表したシリーズでもあり、アメリカ北西部のポートランドの海岸線からインスパイアされたデザインが特徴となっている。
“オープンウォーター”コレクションのひとつであるクラウンポイント。デザインは、ポートランドから東45km。オレゴン州とワシントン州の州境に位置する、国定景観地区のコロンビア川渓谷からインスピレーションを得ており、文字盤カラーはコロンビア川の深い水をイメージしたネイビーに渓谷の森林をイメージしたフォレストグリーンを加えた、深みのある独特の色合いを採用。西海岸のポートランドらしいカラーリングが魅力的だ。
■SS(40mm径)。200m防水。自動巻き(Cal. Sellita SW-200-1)。ブレスレットは875米ドル(約9万5千円)。NATOベルトは810米ドル(約8万8千円)
VERO(ベロ)
ノースコースト
“オープンウォーター”コレクションのノースコーストは、北西部海岸線の早朝トレーニングからデザインインスピレーションを得たブレスレット仕様のダイバーズウオッチ。グレーの文字盤カラーは沿岸での霧をイメージし、ベゼルの目盛りにはポートランドの空の青さを表現した差し色が加えられている。
ケースの素材には高品質な316Lステンレススチール、風防にはサファイアクリスタルを採用。逆回転防止ベゼル、ねじ込み式リューズ、200m防水と本格ダイバーズウオッチのスペックもしっかり確保されている。
■SS(40mm径)。200m防水。自動巻き(Cal. Sellita SW-200-1)。ブレスレットは875米ドル(約9万5千円)。NATOベルトは810米ドル(約8万8千円)
文◎William Hunnicutt
時計ブランド、アクセサリーブランドの輸入代理店を務めるスフィアブランディング代表。インポーターとして独自のセレクトで、ハマる人にはハマるプロダクトを日本に展開するほか、音楽をテーマにしたアパレルブランド、STEREO8のプロデューサーも務める。家ではネコのゴハン担当でもある。
提供元・Watch LIFE NEWS
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