定年退職後は老後の趣味に時間を費やしたいと考える人もいるだろう。趣味を持つことは今の生活だけではなく、老後の生活も充実させてくれる。今回は老後の趣味の人気ランキングから、今どのような趣味が注目されているのか見ていこう。

老後に趣味を持つ3つのメリット 健康維持、人とのつながり、定年後の目標

老後に趣味を持つことはさまざまメリットをもたらす。特に老後の健康においては非常に重要な役割を果たす場合もある。ここでは老後の趣味における主な3つのメリットを紹介しよう。

メリット1,健康維持に役立つ

まず、趣味の多くは健康維持に役立つ可能性が高い。登山やテニス、ゴルフなどのアウトドアの趣味では体を動かし筋肉を使うことが多い。現役を引退し、外に出歩く機会が少なくなれば筋力が落ちる可能性もあるため、体を動かす趣味があれば筋力維持など身体の健康に寄与するといえる。

メリット2,退職後も人とのつながりが持てる

また、趣味があれば退職後も人とのつながりが持てるのも大きなメリットだ。仕事を退職した途端に人と会う機会が減る人も少なくないだろう。家庭以外にもコミュニティを持っておくと会える人の数も増え、生活は豊かになるはずだ。

メリット3,定年後の人生に目標を見いだせる

定年後の人生に目的や目標ができる点も大きい。趣味はでも続けていくともっと楽しみたいという思いや、少しでも上達したいという気持ちが起こるだろう。

niftyの調査によると60代以上では、目標を立てることの良さについて「やるべきことがはっきりする」と回答した人が約50%、「生活が有意義になる」と回答した人が約40%に上った。(※niftyニュース「今年の目標についてのアンケート・ランキング」(2015年)より)このことからも老後に目標を見出すものがあることで、人生が有意義になると感じている人が多いことがわかるだろう。

老後の趣味ランキングトップ5 1位はパソコン・インターネット

では、今のシニアの人たちはどのような趣味を持っているのだろうか。株式会社ネオマーケティングが2016年に実施した「シニアの趣味に関する調査」によると、60歳以上の趣味のランキングは以下の結果であった。

1位……パソコン・インターネット    62.4%
2位……旅行(日帰り含む)    57.4%
3位……読書            38.5%
4位……映画鑑賞            34.7%
5位……音楽鑑賞            33.0%

60歳以上ではパソコンやインターネットを趣味とする人が最も多く、他にも読書や映画・音楽鑑賞など旅行以外では屋内でできる趣味が並ぶ。老後では積極的に体を動かす趣味を持つ人はどちらかと言えば少数派だ。

老後におすすめの趣味5選 ゴルフ、乗馬、登山、釣り、骨董品

だが老後ももっとアクティブに、人とは違った趣味を夫婦で楽しみたいという方もいるだろう。そこで今回は上の章で述べた趣味のメリットが多く含まれるおすすめの趣味を5つ紹介しよう。また始めるのにかかる費用やメリットについてもまとめている。

1,ゴルフ……総額7万6,000円~数十万円

仕事が営業系であれば接待などで行く機会も多いため、すでにゴルフを趣味にしている人も多いかもしれない。ゴルフはスウィングの他には特にハードな動きがないがラウンドでかなりの距離を歩くので、老後の運動にはぴったりといえる。

日本のゴルフ人口は2016年時点で550万人~600万人。同じくゴルフを趣味にしている人も多いため、共通の趣味を持つ友人が増える可能性もある。

ゴルフを始めるためには、クラブ、ゴルフウェア、小物などを用意する必要があり、総額でおよそ7万6,000円以上がかかる。

<ゴルフを始めるのにかかる費用>
総額:7万6,000円~数十万円

初心者クラブ10本セット     4万円~
ゴルフウェア          2万円~
ジャケット・小物        1万6,000円~

2,乗馬……総額6万円~数十万円

動物と触れ合える趣味がいいという人には、乗馬もおすすめだ。乗馬は意外と全身の筋肉を使う。不安定に動く馬に乗るためには、全身でバランスを取らないと落馬してしまうからだ。

乗馬を始めるためには乗馬クラブへの入会と月会費が必要だ。例えば日本で最も会員数が多い乗馬クラブ「クレイン」では一般の入会金は16万5,000円、月会費は1万6,500円かかる。(※2019年12月12日時点の価格)

<乗馬を始めるのにかかる費用>
総額:6万円~数十万円
入会金           5万円~数十万円
月会費           1万円~2万円

3,登山……総額8万5,000円~16万8,000円

自然の中で過ごしたい人は登山がよいだろう。平地を歩くよりも筋肉やエネルギー使うし、緑の中を歩くとリフレッシュにもなるだろう。さらにグループで登れば趣味としても楽しく、安全性の面からも安心だ。グループに所属していなくても、登山であれば友人や知人を誘いやすいだろう。

登山を始めるためには登山靴やレインウェア、登山服などを購入する必要がある。最低でも8万5,000円程度はかかるが、登山では準備不足で事故が起きる可能性もあるため装備は入念に準備したい。

<登山を始めるのにかかる費用>
総額:8万5,000円~16万8,000円
登山靴               2万円~3万円
リュックサック           1万円~2万円
ザックカバー            2,000円~3,000円
レインウェア            2万円~4万円
ヘッドライト            3,000円~5,000円
登山服               3万円~7万円

4,釣り……総額1万5,500円~数万円

釣りは専門のテレビ番組があるほどメジャーな趣味といえる。真剣に魚を釣ろうとする人は、海や川の状況を調べ、どこに釣り糸をたらすか、どのような仕掛けを採用するかなどにこだわる人もいる。そういった人はお目当ての魚が釣れたときの喜びも大きいだろう。

他にも釣った魚を食べたり、さばいたりするなど楽しみ方が豊富な点も魅力だ。日本の釣り人口は2016年時点で690万人いるため、身近で釣り仲間を見つけることもできる。

始めるのにかかる費用は約1万5,000円程度と、気軽に取り組みやすい趣味だ。

<釣りを始めるのにかかる費用>
総額:1万5,500円~数万円
釣竿・リール             1万円~
仕掛け                2,500円
クーラーボックスその他          3,000円

5,骨董品の収集……総額数万円~数百万円

骨董品というとお金がかかるというイメージで敷居が高いと感じている人も多いだろう。だが、対象は絵画や陶磁器から古い家具・おもちゃまでと値段も幅広い。骨董品の魅力は、長い時を経ており希少価値が高いこと、またすり減ったり変色したりすることで他にまったく同じ物が存在しないことなどだろう。

安いものでは数万円から価値のある骨董品を購入することができる。

<骨董品の収集を始めるのにかかる費用>
総額:数万円~数百万円
絵画・陶磁器などの骨董品    数万円~数百万円

自分に合った趣味を見つけ老後も楽しく続けよう

老後も趣味を続けるためには十分な老後資金を用意しておくことや、健康チェックを怠らないことが必要だ。現役のうちから趣味のコミュニティを見つけておくと、老後を迎えて時間ができた時に趣味に集中しやすいだろう。老後は仕事や子育てから卒業し、夫婦二人の時間を過ごせる機会でもある。ぜひ自分に合った趣味を見つけ、老後の生活をさらに充実させていただきたい。

文・松岡紀史(ファイナンシャル・プランナー、ライツワードFP事務所)
 

【関連記事 PR】
「快適な老後」を送るには借金を何歳までに完済すべき?専門家のススメ
老後の移住で人気の都道府県は?移住で後悔しないためのポイントを解説
老後資金の目安は2,000万円?実際の不足金額をシミュレーション
老後に不安を抱える人は8割超 今からできる老後のお金の準備方法をFPが解説
老後資金、足りない場合どうすればいい?確実に不足する場合の3つの対処法