それを与えると効果が絶大という意で、「ネコにマタタビ」ということわざがあります。
ネコのマタタビ好きは江戸時代から知られていますが、同時に「なぜマタタビを好むのか」は大きな謎となっていました。
しかし今回、岩手大学、京都大学、名古屋大学、リバプール大学の研究により、ついにその謎が解明されました。
マタタビは、ネコの幸福レベルを高めるだけでなく、蚊をよける効果をもっていたのです。
研究は、1月20日付けで『Science Advances』に掲載されています。
目次
マタタビに「蚊よけ効果」を発見!ネコの幸福レベルもUP
マタタビに「蚊よけ効果」を発見!ネコの幸福レベルもUP
マタタビは、湿り気のある山地に自生するつる性の植物で、ネコはそれを見つけると自らの顔や体にこすりつけ始めます。研究チームはその理由を解明するため、マタタビの葉をすりつぶし、そこに含まれている成分を1種類ずつ分離。
それぞれの匂いを、18匹の実験用のネコと、17匹の野生のネコに嗅がせてみました。
その結果、「ネペタラクトール」という成分に強く反応することがわかったのです。
ネペタラクトールをしみ込ませた紙をオリの天井や壁に貼り付けてみると、ネコは地面に転がらず、紙のあるポイントに頭をこすり付けました。
ネコを惹きつけていたのは、マタタビの中のネペタラクトールだったのです。
またネコ科動物に属するジャガーやヒョウでも実験したところ、ネコと同じくネペタラクトールに強い反応を示すことがわかりました。
さらに、ネペタラクトールには蚊を遠ざける効果も見つかっています。
ネコにネペタラクトールを塗って30匹の蚊を放したところ、蚊の止まる数は、ネペタラクトールを塗っていないネコの半分以下になっていました。
研究主任の宮崎雅雄氏(岩手大)は「ネコ科の動物は、茂みの中で狩りをする際によく蚊に刺されます。
蚊は寄生虫や病原菌を媒介するため、マタタビに含まれるネペタラクトールを体につけることで虫よけにしているのでしょう」と説明します。
それから、血液検査によって、マタタビの香りを嗅いでいるネコの脳内状態を調べてみると、幸せを感じたときに働く脳内物質の血中濃度が上がっていることも判明しました。
ネコはマタタビを嗅ぐと陶酔状態に陥りますが、これには幸福レベルの上昇、および虫刺されの鎮痛効果があると思われます。
研究チームは「この結果をもとに、ネペタラクトールを用いた新しい虫よけ剤の開発が期待できる」と述べています。
参考文献
scitechdaily
inverse
提供元・ナゾロジー
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