ヴァージン・ギャラクティック社によって3月30日、最新の宇宙船「VSS Imagine」が公開されました。
銀色に輝くボディーと絞り込まれた尾部、そして左右にそびえる垂直ウイングという外観からは、往年のSFに登場するようなレトロ感が色濃く漂います。
「VSS Imagine」とは、いったいどんな宇宙船なのでしょうか?
目次
ギラッギラ最新宇宙船を公開!
双胴機から切り離されロケット点火
翼は可変機構を搭載
ちょっと宇宙行ってくる
ギラッギラ最新宇宙船を公開!
ヴァージン・ギャラクティック社は宇宙旅行を売り出す民間企業であり、これまで3タイプの宇宙船を作ってきました。
最初に開発された「VSS Enterprise」は事故により失われてしまいましたが、第二世代の「VSS Unity」では宇宙空間に到達し、5分ほどの無重力体験をすることに成功します。
そして今回発表された第三世代とも言える「VSS Imagine」は「VSS Unity」の改良版となっており、胴体、キャビン、翼など各部をモジュール化することで、生産性とメンテナンス性を向上させることに成功しました。
機体の試験は5月から開始される予定であり、成功すれば宇宙旅行がグッと身近な存在になるでしょう。
というのも「VSS Imagine」の打ち上げには、スペースシャトルのような巨大ロケットが必要ないからです。
双胴機から切り離されロケット点火
「VSS Imagine」の発射は上の動画のように2段階で行われます。
まず最初に「VSS Imagine」を搭載した双胴型の飛行機(母機)により高度15kmまで運搬され、切り離された後に本体のロケットに点火し、高度110kmの宇宙を目指します。
母機によってある程度の高さまで運ぶことで必要な燃料を減らすことができるため、スペースシャトルのように燃料タンクを切り離す必要がなくなります。
しかし「VSS Imagine」の最もユニークな部分は、本体に隠されていました。
翼は可変機構を搭載
「VSS Imagine」の最も大きな特徴としてあげられるのが、翼の可変機構です。
地球に戻ってくる飛翔体にとって大気圏再突入は避けては通れない難事ですが「VSS Imagine」は翼の先端部を稼働させることで大気に対して空気抵抗をうみだし、突入速度と摩擦熱をやわらげることが可能になります。
また元から最高速度がそれほど速くないこともあり、スペースシャトルのように表面を耐熱タイルで覆う必要もありません。
そしてこれが、「VSS Imagine」が再突入型の宇宙船にもかかわらず、銀色の金属ボディーで覆われている秘密になります。
高度22kmまで降下すると再び翼を変形させ、飛行場に帰還します。
なお「VSS Imagine」は、帰還時の大気圏内航行を、全て燃料を使わない滑空で行うことが可能なように設計されています。
ちょっと宇宙行ってくる
今世紀になって、世界各地で民間の宇宙旅行会社が様々な宇宙船を開発するようになりました。
しかし残念ながらどれも費用が高額であり、お金持ちだけが楽しめるエンターテイメントとしての側面があります。
ですがヴァージン・ギャラクティック社は今後、宇宙船を量産することを目指しており、実現すれば必要なコストが大幅に下げられるでしょう。
宇宙旅行が身近になる日は、刻々と近づいているようです。
参考文献
Virgin Galactic rolls out latest generation of spaceship
提供元・ナゾロジー
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