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コロナ禍による外出自粛ムードの中、自炊の機会が増えた方も多いでしょう。
英・ケンブリッジ大学の保全生態学者であるビル・サザーランド教授もその一人。
しかし、サザーランド教授は研究者らしく、普通の家庭料理とは違い、古代メソポタミアの粘土板に記された秘伝のレシピに挑戦しました。
これはメソポタミア文明のバビロニアに伝わる3770年前の粘土板で、現存する世界最古のレシピです。
サザーランド教授がSNS上に掲載した料理とレシピは、広く拡散され、話題を集めています。
世界最古のレシピでクッキング
教授は、自身のツイッター上で「ロックダウンは煩わしいことだが、この機会に、紀元前1750年のレシピで古代バビロニア料理を作ってみることにした」と述べています。
レシピについては、メソポタミア文化を専門とするムディ・アル・ラシド博士から教えてもらったとのこと。実際の調理には、粘土板のレシピが翻訳された書籍『Ancient Mesopotamia Speaks』を参考にしています。
料理完成には、約1時間の予習と下準備、2〜3時間の調理時間を要したそうです。
バビロニア秘伝のメニュー4選
子羊のシチュー
レシピには「ラム肉を用意。水と牛脂(油)を加える。塩、ミルク、ペルシアン・シャロット(タマネギの一種)、大麦のケーキを加える。刻んだネギとニンニクをまぶす」とあります。
教授は「作り方がシンプルで、味も美味しかった。大麦のケーキ(娘のテッサが作ってくれた)を入れて崩すと、トロトロしたリッチなソースができた。トッピングに刻んだネギとニンニクをまぶしている」と記載しています。
ただし、「レシピの説明が簡潔すぎたので、時々、推測をしなければならなかった」そうです。例えば、トッピングのネギとニンニクは「炒める」という指示がなかったので、生のまま乗せています。
煮込みハンバーグのようで美味しそうですね。
トゥユー(Tuh’u)
こちらは「トゥユー」と呼ばれる、赤いソースで肉を煮込んだ一品です。
レシピには「足の肉を用意。水と牛脂を加えて、軽く焼く。塩、ビール、ニンニク、ルッコラ、コリアンダー、ペルシアン・シャロット、クミン、ビーツを混ぜる。刻んだネギとニンニク、リーキ(ネギの一種)を添える」とあります。
「これは見事なまでに風味豊かだった。もう少し煮込む時間を長くして、肉を柔らかくした方が良かったかも」と感想を述べています。
赤ワインで煮込んだフレンチのようですね。
アンワインディング
3品目は「アンワインディング(Unwinding)」と記載された料理。
レシピは「肉は不要。水と牛脂を加える。ネギ、コリアンダー、塩を好みの分量加える。ネギ、ニンニクも。サワードウ粉をまぶして焼く」とこれまた完結です。
教授は「ネギとニンニクを炒めて、サワードウ生地のパン粉とともに焼き上げた。見た目には美味しそうだが、ちょっと物足りない」といいます。
パサついたグラタンのような感じでしょうか。
エラム風スープ(Elamite Broth)
最後は羊の血を使ったスープです。
レシピは「肉は不要。水と牛脂を加える。イノンド(セリの一種)、リーキ、コリアンダー、ネギ、ニンニクを混ぜる。羊の血と同じ分量のサワーミルクを加える。料理名はZukanda」と書かれています。
しかし、教授は「これに関してはズルをした。本来なら羊の血を使うべきところをトマトソースで代用した」と述べています。それでも「濃厚な風味がクセになる美味しさ」だったそうです。
スープというよりは、たらこマヨネーズにしか見えませんね。
ラム肉やイノンドなど、日本の家庭料理には馴染みのない食材も多いですが、自炊メニューにマンネリを感じたら試してみてはいかがでしょうか。
提供元・ナゾロジー
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