4月9日、イーロン・マスク氏率いるNeuralinkは、ブレインマシンインターフェースのデモンストレーション動画を公開しました。
動画では、ワイヤレス脳インプラントを装着したサルが、手を使わず脳の働きだけでピンポンゲームを行なっています。
「頭で考えるだけでコンピュータを操作する」ことがサルで実証されたのです。
目次
サルがゲーム操作している時の神経活動を脳インプラントで記録
電極を装着したサルが手を使わずにピンポンゲームする
サルがゲーム操作している時の神経活動を脳インプラントで記録
動画では、ワイヤレス脳インプラント「N1 Link」が埋め込まれたサルが登場します。
N1 Linkとは脳に埋め込む小型デバイスであり、1024個の電極が脳の神経活動を記録。外部のコンピュータにワイヤレスで送信できます。
最初にサルは、物理スティックを使ってゲームのルールと操作を覚えました。
スティックでボールをオレンジ色のマスに誘導すると、報酬として鉄製ストローからバナナスムージーを貰えるのです。
動画の前半ではかなりスムーズにゲームを操作している様子が映し出されています。
同時にチームは、サルの脳活動を記録。操作時にどのニューロンが発火したかなどの情報を取得しました。
さらに神経活動のパターンと操作を機械学習によってモデル化しました。これにより、「脳の働きからサルが意図した操作を予測」することに成功します。
つまり、サルが頭で考えた操作をデータ化できたのです。
これによりテストは次の段階に進みます。
電極を装着したサルが手を使わずにピンポンゲームする
動画の後半では、サルがスティックなしでピンポンゲームを操作している様子が映し出されています。
脳インプラントから送信された神経活動をもとにリアルタイムでバーの上下の動きを予測・反映させています。
ピンポンゲームでは、ボールを後ろに通過させないようにバーを瞬時に操作する必要があります。
それでもサルは、頭で考えただけでほぼ完ぺきにゲームをこなしています。
ストローをつかんで報酬のバナナスムージーを楽しみながら、頭ではゲームに熱中しているのです。
この結果は、「思考だけで電子機器を操作する」というブレインマシンインターフェースの確立が近いことを意味します。
イーロン・マスク氏とNeuralink社の目標は、麻痺患者にデジタルの自由を与えることです。
実際、イーロン・マスク氏は、今回のビデオが公開された直後に、「麻痺のある人々は、親指を使うよりも素早く、頭でスマートフォンを操作できるようになる」と主張しました。
将来的には、健康な人でも考えるだけでさまざまな電子機器を操作する時代が到来するかもしれませんね。
参考文献
Monkey plays Pong with brain implant from Elon Musk’s Neuralink
提供元・ナゾロジー
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