目次
ドラゴンの翼の大きさは?
実在する空飛ぶドラゴン…?
翼がなくてもドラゴンは飛べる
ドラゴンはどうすれば火を噴けるか?
ドラゴンはどうすれば実在できるか

「火を噴くドラゴン」が科学的に存在し得るのかを考えてみる
(画像=『ナゾロジー』より引用)

洋の東西を問わず、アニメやゲームに登場する伝説の存在「ドラゴン」。

それは鳥のように優雅に空を飛び、ときにカッコよく火を噴く姿で描かれます。そのような生命体はもちろん発見されていませんが、化石の調査から、飛行能力を有した爬虫類や恐竜の存在は確認されています。

しかし、さすがに「火を噴く」生命体はいくら過去を遡っても見つかっていません。

では、火を噴くドラゴンは科学的にありえないのでしょうか。もしありえるとしたら、どのようなメカニズムになっているのでしょうか。

ドラゴンの翼の大きさは?

「火を噴くドラゴン」が科学的に存在し得るのかを考えてみる
(画像=『ナゾロジー』より引用)

科学者は鳥が飛竜の子孫であると考えており、ドラゴンも空を飛べることが可能と考えています。では、一体ドラゴンはどのくらいの大きさなのでしょうか。

白亜紀後期に生息していた翼竜ケツァルコアトルスは、飛行動物の中で最も巨大でした。その翼の大きさは約11メートル、重さは200から250キログラムあったと推察されています。その翼の大きさはビルの3階分に位置し、重さはトラと同じくらいの重さです。

「火を噴くドラゴン」が科学的に存在し得るのかを考えてみる
(画像=Cerdit: Wikipedia / 飛行中のケツァルコアトルスの想像図、『ナゾロジー』より引用)

現在生息している鳥は恐竜ほど大きくありません。それにはいくつかの説があり、翼の大きさを維持するための消費エネルギーの影響や、地球の気候変動や大気の構成要素の変化などがあります。

実在する空飛ぶドラゴン…?

先史時代の翼竜は、地上の羊や人を奪い去っていくほど大きなものですが、現在の翼竜は昆虫や鳥などを食する小さなものになっています。その翼竜は、イグアナ科目のアガマ科に属し、トビトカゲと言います。

「火を噴くドラゴン」が科学的に存在し得るのかを考えてみる
(画像=Credit: Damn Cool Pictures / トビトカゲの様子、『ナゾロジー』より引用)

トビトカゲは実際に空を飛行できます。飛行距離は約60メートルほどで、身体を平らにするように四肢を伸ばし、同時に翼を広げて飛行します。飛行中のバランスは尻尾と喉にある三角形の皮膚を用いて行い、重力に従いながら下降します。この空飛ぶドラゴンは南アジアに生息し、大きいものは20センチにもなります。

翼がなくてもドラゴンは飛べる

ヨーロッパのドラゴンは巨大な飛行動物ですが、アジアのドラゴンは蛇のようなものに近いといわれています。

蛇というと、私たちは地を這う動物だと考えがちですが、実際には空を滑走する蛇も存在します。その飛行距離は、サッカーフィールドやオリンピックプールの2倍もの長さです。その名は「トビヘビ」と言います。それは100メートルまで飛行でき、身体を地を這うように動かします。

「火を噴くドラゴン」が科学的に存在し得るのかを考えてみる
(画像=Credit: Wikipedia / トビヘビ、『ナゾロジー』より引用)

この翼のないドラゴンは自らで浮上することは出来ませんが、長距離の滑空も可能です。また、動物は空気よりも軽いガスを体内に溜めることができれば、多少浮くこともできるようです。

ドラゴンはどうすれば火を噴けるか?

ある程度滑空できる蛇はいるようですが、では火を噴くにはどうしたらいいのでしょうか。

残念ながら、火を噴く動物はこれまで見つかっていません。しかし、火を出すことが不可能というわけではありません。ボンバルディア・ビートルと呼ばれる昆虫は、ヒドロキノンと過酸化水素を腹部に溜めることができ、脅威を感じるとそれを噴射します。それは噴射されると100度を超える高温ガスになり、危険からその身を守ります。

「火を噴くドラゴン」が科学的に存在し得るのかを考えてみる
(画像=Credit: MIT / ボンバルディエ・ビートルがガスを噴射している様子、『ナゾロジー』より引用)

生きている生物は、引火性のものや反応性の高い化学物質や触媒を常に生成しています。それは人間も同様です。人は自らが利用するよりも多くの酸素を取り入れており、過酸化水素は代謝で生成されます。また、消化では酸を用い、その副産物として生じるメタンは引火性があります。さらに肝臓や赤血球に豊富にあるカタラーゼは化学反応を促す酵素の役割を担います。

このことから、ドラゴンが火を噴くには、必要な化学物質を体内に溜めて、化学的か機械的に引火させることが必要です。機械的に引火する場合は、圧電結晶を砕くことで火花を散らすことができます。圧電素材は引火性の化学物質のようなもので、歯にあるエナメル質や象牙質、乾いた骨や腱など動物の体内に既に存在します。

「火を噴くドラゴン」が科学的に存在し得るのかを考えてみる
(画像=『ナゾロジー』より引用)

これまで火を噴く生命体は発見されていませんが、それはボンバルディエ・ビートルが示すように、噴射する能力を発展させてきた種が全くいないという意味ではありません。ただ、肛門や特別な構造を持った口から火を放つ動物になる可能性があります。

ドラゴンはどうすれば実在できるか

物語で語られるようなドラゴンの体重は、非常に重いと思われます。図体や背骨が大きく、角が生えたり突起物があったりするとドラゴンの体重はどんどん重くなるでしょう。さらに、ドラゴンの翼を小さくしたいなら、もはや科学者では太刀打ちできません。

要するに、空を舞い、火を噴き、人を食べるドラゴンが存在するか否かは、ドラゴンをどのような生物か定義することから始まるのです。

みなさんの理想はどんなドラゴンですか?

提供元・ナゾロジー

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