目次
- 2020年の調査結果「信号のない横断歩道で一時停止しない車は80%」
- 歩行者がいないときや自転車で横断するときは?
- ドライバーが一時停止しない理由とは?
- 横断歩道での一時停止違反の罰金は?
- 横断歩道の標識は4種類!「ひし型マーク」も
- ドライバーと歩行者 横断歩道ではどうすればいい?
- 横断歩道での一時停止のために、早めのブレーキを
2020年の調査結果「信号のない横断歩道で一時停止しない車は80%」
2020年にJAFが全国合計94箇所で信号機が設置されていない横断歩道を通過する車両を対象(9,434台)に行ったところ、歩行者が渡ろうとしている場面で一時停止した車は2,014台(21.3%)という結果となりました。前年の調査時と比べて4.2ポイントの増加に留まり、依然として約8割のクルマが止まらない結果となりました。
道交法には「横断歩道においては歩行者優先」が明記
道路交通法 第三八条「横断歩道における歩行者優先」には、横断歩道に横断者がいる場合、車は横断歩道手前で停止できるような速度で進行しなければならないと明記されています。
言い換えれば「横断者がいたら横断歩道では停止」はもとより、「付近に誰もいない場合を除き、横断歩道手前で停止できる速度で走行するように」と定められているのです。
しかし「横断歩道付近に誰かいるが、その人が横断しようとしているのかがわからないので、減速および停止するか判断に迷ってしまい、止まれない」というドライバーの声も聞かれます。
1 車両等は、横断歩道又は自転車横断帯(以下この条において「横断歩道等」という。)に接近する場合には、当該横断歩道等を通過する際に当該横断歩道等によりその進路の前方を横断しようとする歩行者又は自転車(以下この条において「歩行者等」という。)がないことが明らかな場合を除き、当該横断歩道等の直前(道路標識等による停止線が設けられているときは、その停止線の直前。以下この項において同じ。)で停止することができるような速度で進行しなければならない。
この場合において、横断歩道等によりその進路の前方を横断し、又は横断しようとする歩行者等があるときは、当該横断歩道等の直前で一時停止し、かつ、その通行を妨げないようにしなければならない。
道路交通法 第三八条「横断歩道等における歩行者等の優先」
正しい場所で一時停止しなければ取り締まり対象になるおそれも
インターネット掲示板などでは「一時停止したのに違反を取られた」という声も見かけます。理由はさまざまあると思われますが、そのひとつに一時停止する位置が正しくなかった可能性が考えられます。
横断歩道の手前で一時停止する位置は、停止線の直前でなくてはなりません。道交法にも以下のように明記されています。
車両及び路面電車は、交通整理が行われていない交差点またはその手前の直近において、一時停止の道路標識等により一時停止すべきことが表示されているときは、道路標識等による停止線の直前(停止線がない場合は、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。
道路交通法 第四八条「指定場所における一時停止」
つまり、停止線を超えたり、横断歩道の中に侵入したり、さらには停止線よりもずっと手前で停止した場合は、停まってはいるが正しい一時停止はできていないことなります。
停止線にフロントタイヤを合わせている人や、停止線から1mほど間隔を空けている人などは、一時停止したのに違反を取られる可能性がありますので注意しましょう。
歩行者がいないときや自転車で横断するときは?
横断歩道付近に歩行者がいない場合は停止しなくてOK
一時停止が義務付けられるのは、横断歩道を横断中、または横断しようとする歩行者がいる場合です。明らかに無人である場合は一時停止しなくても違反にはなりません。
しかし、横断歩道に歩行者がいないことが明らかでないときは、一時停止が義務付けられます。
前の車や障害物で横断歩道の状況がよく見えなかったり、夜間や雨で視界が悪い場合などは、一時停止を怠ると違反となりますので注意しましょう。
自転車は横断歩道の歩行者の前で一時停止しなければならない?
自転車も車と同じく、信号のない横断歩道に歩行者がいる場合は一時停止しなければなりません。
横断歩道付近に自転車がいる場合、車は一時停止すべき?
信号機のない横断歩道を渡ろうと待機している自転車がいる場合、自転車横断帯がなければ車に一時停止の義務は生じません。
しかし、車と自転車において事故が起きた場合、車には交通弱者である自転車を守る義務があるとされますので、一時停止義務がないからといって、不注意な運転をするのはNGです。
また、自転車から降りている(自転車を押して歩いている)人は歩行者と同じ扱いとなりますので、車に一時停止義務が生じます。
ドライバーが一時停止しない理由とは?
信号のない交差点でドライバーが一時停止しないのは、下記のような理由があるようです。
- 自分が停止しても対向車が停止しないので危ないから
- 後続から車がきておらず、自分が通り過ぎれば歩行者は渡れると思ったため
- 横断歩道に歩行者がいても渡るかどうかわからないから
- 一時停止した際、後続車から追突されそうになる(追突されたことがある)から
この他に、歩行者の「横断する」という意思がドライバーに伝わっていない場合が多いことも明らかになりましたが、圧倒的に多かったのは「後続車から追突されるかも」というもの。
実際に、信号のない横断歩道で一時停止していた車が、後続車に追突されてしまったことで、横断中の歩行者を轢いてしまうという事故も起きています。
信号のない横断歩道での一時停止は追突の危険がある?
横断歩道の手前で自分がしっかり一時停止していた場合、後ろから追突されても、ほぼ確実に相手の過失になるとみてよいでしょう。
しかし、「追突されるリスクを犯してまで一時停止したくない」というドライバーの心理も理解できます。
また、一時停止した自分の車を後続車が追い抜こうとして歩行者に危険が及ぶ、停車した自分の車だけを見て歩行者が横断し始めてしまうと対向車が停車していない場合はかえって危険……といった懸念もよく聞かれます。
道路上や標識の横断歩道表示が見にくいといった声もありましたが、基本的にはドライバー全員が速度や一時停止ルールに気をつけて運転するほかありません。
横断歩道での一時停止違反の罰金は?
横断歩道に歩行者がいるにも関わらず一時停止を行わなかった場合は「横断歩行者等妨害等違反」となり、下表のような反則金処分がなされます。
(この時点で支払うのはあくまで反則金であり、前科がついてしまう罰金とは異なります)
車両 | 道路標識等による一時停止規制等違反 | 信号機のない踏切の直前停止義務等違反 |
大型車 | 9,000円 | 12,000円 |
普通車 | 7,000円 | 9,000円 |
二輪車 | 6,000円 | 7,000円 |
原付 | 5,000円 | 6,000円 |
減点2点で青キップが切られる
信号のない横断歩道での一時停止違反は、減点2点の軽微な違反となり、青キップの対象となります。
青キップに署名・捺印(拇印)し、一緒に交付される納付書にて一定期間中に反則金を支払えば、前科はつきません。
しかし、過去3年以内に違反キップを切られていた場合、その累積点数にて免停(免許停止)・免取(免許取消)になる場合があります。
横断歩道での一時停止違反に納得がいかないときは?
ドライブレコーダーなどの記録映像があり、警察と自分の主張が食い違っている場合などは、否認することもできます。
その場合、青キップにサインしない、その場で反則金を支払わないが必須条件です。サインだけでもしてしまうと、違反を認めたことになってしまいます。
違反を否認すると、警察官から「裁判になりますよ」と言われますが、全ての人が裁判になる=起訴されるわけではありません。
詳しくは以下記事で解説しています。
横断歩道の標識は4種類!「ひし型マーク」も
信号の有無に関わらず、横断歩道の標識は上の4種類です。
横断歩道の標識
横断歩道・自転車横断帯の標識
「通学路」と間違いやすいが、どちらも安全運転を
「横向きの人物が2人」という点では、上の「通学路」の標識と間違えやすいかもしれません。とはいえ、通学路も子供が多いため、信号のない交差点以上に安全に気を配って運転する必要があります。
信号のない横断歩道の手前には「ひし型マーク」
信号のない交差点の手前にはドライバーに減速を促すため、「ひし形マーク」が道路標示されています。
JAFのアンケート調査によると、ほとんどのドライバーがひし形マークの意味を理解しているけれど、一時停止はしていないことが明らかになっています。
ドライバーと歩行者 横断歩道ではどうすればいい?
ドライバーは「ひし形マーク」の路面表示があったら減速を
「横断歩道手前では減速」を前提として、安全な速度で走行することが大切です。その際、「ひし形マーク」の路面表示を見落とさないようにしましょう。
また、歩行者に道を譲る際はジェスチャーなどが有効のようです。意思のゆきちがいがないよう、「どうぞ」の動作を行いましょう。
歩行者は横断する意思をしっかり示す&歩きスマホはNG
歩行者にも、歩道の道路寄り側に立つなど、ドライバーが横断者と判断できるような気遣いが必要です。
また、歩きスマホなど車に注意を向けずに歩行するのは、危険なことはもちろん、ドライバーにとって迷惑な行為です。歩行者優先といえど、ドライバーへの迷惑は自身の危険にもつながると自覚しましょう。
歩行者は必ず横断歩道を利用しよう!
現在、道路の横断における交通ルールでは、信号のない横断歩道で一時停止違反をした車にのみペナルティが課されています。
しかし、横断歩道以外の場所を渡った歩行者にもペナルティを設けている国もあるようです。
横断歩道以外を横断することは、渋滞や事故の原因に繋がります。歩行者もきちんと交通ルールを守ることが大切といえます。
横断歩道での一時停止のために、早めのブレーキを
「一時停止した際、後続車からの追突を防止するために有効だと思う方法は?」というJAFの質問アンケートの結果は以下のようになりました。
「一時停止した際、後続車から追突されそうになる(追突されたことがある)」と回答したドライバーは30%以上を占めました。それを防止するために有効な方法も、やはり「横断歩道の手前から早めに減速する(早めにブレーキで後続車に自車が停止することを早めに伝える)」と言えます。
ドライバーと歩行者の双方でコミュニケーションを取ることはもちろんですが、「かもしれない運転」で道路状況を先読みし、安全運転に努めることも大切です。
また、横断歩道以外を横断する歩行者には「横断歩道にいてもどうせ車が停まってくれないから、どこを渡っても同じ」という心理も考えられます。
歩行者にとって安全に横断できる場所=横断歩道であるという環境を作るためにも、信号のない横断歩道での一時停止は必ず行いましょう。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
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