初代CX-5は、「SKYACTIV(スカイアクティブ)」と呼ばれる技術が初めて全面的に採用されました。デビュー以来、同社の中核モデルといえる存在になるまで成長し、2017年2月に発売された現行型は2代目になります。
日本でも大きすぎないサイズであり、ディーゼルエンジンが販売を牽引し、軽自動車やミニバン、商用車の開発、生産(OEMをのぞく)から撤退し、SUVを中心とした品揃えの転換を図った同社の象徴的なモデルともいえます。
目次
「SKYACTIV」テクノロジーが全面採用された初のモデル
洗練された走りやデザイン、 最新安全装備が魅力の2代目
「SKYACTIV」テクノロジーが全面採用された初のモデル
日本向けには「CX」が付くクロスオーバーSUVとして、CX-7が2006年から2012年まで販売されていました。ボディサイズは、全長4695×全幅1870×全高1645mm、ホイールベースは2750mm。プラットフォームは基本的(フロント側)にミニバンのMPVと同じで、スポーティな走りとスタイリッシュなエクステリアが特徴でした。
しかし、上記のようにボディは少し大きめで、最小回転半径も5.7mと狭い場所での取り回しには少し気を使うこともありました。
2012年2月にCX-7と入れ替わるような形で誕生した初代CX-5は、全長4540×全幅1840×全高1705mm、ホイールベースは2700mmで、全高をのぞきサイズがひと回り小さくなり、最小回転半径も5.5mとより小回りが利くようになりました。
日本の狭い道路や駐車場でもそれほど持て余さないサイズとしながら、広いキャビン、使い勝手のいいラゲッジスペースを用意。さらに、マツダは、先代デミオで「SKYACTIV(スカイアクティブ)」技術を一部(エンジン)に採用し、2012年誕生の初代CX-5から全面的に同テクノロジーが反映されています。
同技術は、単なる最新技術の総称ではなく、全車種一括企画にもとづいた新しい「クルマ作りそのもの」でもあり、エンジン、トランスミッション、ボディ、シャーシにまで及んでいます。
ユーザーが最も恩恵を受けたのは、「SKYACTIV-D」と呼ばれる世界一の低圧縮比(14.0)を実現した新世代の高効率ディーゼルエンジンでしょう。
高コストになるNOx後処理装置を必要としないクリーンディーゼルエンジンであり、ガソリンエンジン車との価格差を抑え(他のディーゼルエンジン搭載車よりも価格上昇を抑制)たことが日本車では、三菱デリカD:5やトヨタ・ランドクルーザーなどの一部のモデルをのぞき、ディーゼルエンジンが主役になることに成功しています。
さらに、燃費の良さと軽油で済むランニングコストの利点に加えて、大きくて重くなるSUVとの相性がいいトルクフルな走りも獲得したことが、CX-5の人気を不動のものにしたといえます。
もちろん、ガソリンエンジン車も「SKYACTIV」が使われていて、ディーゼルエンジンと乗り比べると、伸びやかな回転フィールが得られるなど、ガソリンエンジン車の利点も多く、ディーゼルエンジン搭載車よりも車両価格は依然として低く抑えられているというメリットもあります。
初代、2代目(現行)を問わず、街中を中心とした使い方で走行距離が短いのであればガソリンエンジン車を、ロングドライブや帰省など高速道路も使うことも多いのであれば、ディーゼルエンジン車を選ぶというのは、迷った際にひとつの指標になりそうです。
また、いまでは極少数派ではあるものの、ATに加えて一部グレードにはMTも設定し、より走りを楽しみたいというニーズにも応えています。駆動方式もFFに加えて、AWD(4WD)も設定していますので、降雪地域を中心とした需要にも応じています。
洗練された走りやデザイン、 最新安全装備が魅力の2代目
筆者は、今から2年程前に初代CX-5のステアリングを再び握る機会がありました。1泊2日のロングドライブであり、高速道路での優位性を実感できるディーゼルエンジン車でした。一方で、2017年登場の2代目を知っている身としては音、振動面や乗り心地、そしてドライビングフィールのすべてにおいて世代差を実感したのも確かです。
初代CX-5は、すでに100万円を切った個体も多くあり、実用車としてある程度割り切って割安な価格で手に入れる手もあります。しかし、「ファーストカーとして家族連れなどのドライブやレジャーも楽しむ」、「ある程度長い期間付き合っていきたい」、「最新の安全装備も欲しい」などのニーズがあれば、やはり2代目の現行型がオススメです。
マツダは最新モデル(一部改良、マイナーチェンジモデルを含む)を常にショールームに並べる、という戦略を取っています。イヤーチェンジ(年次改良)といえるほど、頻繁に商品改良を敢行。最新モデルになるほど走行フィールや装備などがアップデートされています。
予算に応じてより新しい個体を選べば満足度が高くなるのはどのモデルも当然としても、その傾向がより顕著なのが最近のマツダ車といえます。
2代目も2.0Lガソリン、2.5Lガソリン、2.2Lディーゼルエンジンを設定。先述のように乗り方に応じてパワーユニットを選ぶのがオススメですが、CX-5らしいトルク感のある走りで選ぶのなら2.2Lディーゼルがやはり魅力的です。
また、2.0Lガソリンは街中であれば必要十分で、2.5Lガソリンはより余力のある走りが容易に引き出せます。さらに、2018年10月には、2.5Lガソリン直噴ターボエンジン「SKYACTIV-G 2.5T」を追加し、こちらはターボの過給により、主に中・高速域でパンチ力のある走りが楽しめます。
グレードは装備の充実具合から「PROACTIVE(プロアクティブ)」以上、予算が許せば「L Package」を選べばほぼフル装備が手に入ります。また、特別仕様車も随時設定されていますので、中古車選びの際に、出会いがあれば指名買いする手もありそうです。
初代CX-5から始まった商品群をマツダは、第6世代と呼んでいて、2021年3月時点で現行MAZDA 3から始まる第7世代群に移行しています。第7世代には、CX-30やMX-30という新型SUVも加わり(とくにMX-30の中古車はまだ少なめですが)、CX-5と迷う方もいるかもしれません。
サイズ(車格)が上となるCX-5は、居住性、積載性でこの2台の新型SUVを当然ながら上回っています。一方で、取り回しのしやすさなどは、CX-30、MX-30の方が小さいだけに軍配が上がります。ボディサイズや取り回し性などで迷う方は、CX-30なども視野に入れてもいいかもしれません。
文・塚田 勝弘/提供元・車選びドットコムマガジン
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