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1881年、エジプトの都市ルクソールにて、古代エジプトの王墓が発見されました。
そこには、第21、22王朝時代(BC1069〜730頃)の王族のミイラが安置されており、墓荒らしから守るために隠したものと思われます。
その中に「叫ぶ女のミイラ(The Screaming Woman Mummy)」と呼ばれる、一風変わった奇妙なミイラが見つかりました。
古代エジプトのミイラは普通、来世の復活のために丁寧に安置処理されますが、この女性は断末魔の叫びを留めたような表情と固くねじれた身体のままミイラ化されていたのいたのです。
王族と思われるミイラがなぜこのような状態で安置されたのか、これまで大きな謎となっていました。
しかし、カイロ大学の最新研究により、女性は心筋梗塞に伴う激しい痙攣を起こしていたことが判明しています。
もう一体の「叫ぶミイラ」
実は、まったく同じ場所でもう一つ別の「叫ぶミイラ」が見つかっていました。
このミイラについては、以前の調査により、第20王朝の王子ペンタウア(BC1173〜1155)と特定されています。
ペンタウアは、実父であるラムセス3世殺害に共謀した罪で、首吊りによる自殺を強制されました。
彼の遺骸は不浄なものと見なされ、王族であるにもかかわらず、正式な防腐処理がなされず、羊の皮で巻かれただけでした。
その悲壮な最期は、ペンタウア自身の表情が物語っています。
激しい痙攣で身体が硬直?
一方、「叫ぶ女のミイラ」は、ペンタウアより恐ろしい表情を留めています。
顔は右に傾き、胴体は硬直して、足は交差するようにねじ曲がっていました。
大きく開かれた口元は、苦痛の表情を示しています。
研究チームのザヒ・ハワス氏とサハール・サレーム氏は「この女性もペンタウアと同じく乱雑に扱われた可能性がある」と考え、調査を開始しました。
CTスキャンおよびDNA分析の結果、女性は約3000年前に60代で亡くなり、ペンタウアと違って、内臓が取り除かれて香料や樹脂などが入れられ、丁寧な防腐処理が施されており、高価な純リネンで包まれていました。
またコンピューター断層撮影によると、女性は「アテローム性動脈硬化症」を患っていたようです。
この病気は、大動脈・脳動脈・冠動脈といった太い動脈に起こる硬化症で、動脈の内壁にコレステロールなどからなるドロドロした脂質(アテローム)がたまり、重症化すると狭心症や心筋梗塞、脳梗塞を起こします。
アテローム性動脈硬化症は、高血圧、糖尿病、肥満、喫煙、運動不足、座る時間が長い生活などが主な発症原因です。
この女性の場合は、動脈硬化による心筋梗塞が死因と見られ、死の直前に激しい痙攣を起こしてそのまま硬直したのでしょう。おそらく、死後何時間も発見されずに放置されたことで、身体が元に戻らなかったようです。
王族ならではの贅沢な生活習慣が祟ったのかどうかは不明ですが、ペンタウアのような罪人ではなかったと思われます。
提供元・ナゾロジー
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