ポケモンは今や世界中の人が愛する大人気コンテンツです。初代ポケモンから楽しんできた人も多いでしょう。

では、そんなポケモンたちは、どれほど現実的な存在だと言えるでしょうか?

また最初のポケモンを選ぶ際、「一番リアル」という意味で「最高のパートナー」はどれでしょうか?

そんな疑問の答えをYouTubeチャンネル「MinuteEarth」が生物学的な視点で解説しています。

目次
フシギダネの球根は擬態用?
ヒトカゲは化学反応によって火を噴いているのかもしれない
ゼニガメは現実的にありえる!
ピカチュウの電撃は水中専用

フシギダネの球根は擬態用?

「ポケモン」は生物学的に存在できるのかを考えてみた
(画像=フシギダネに近いのはモクズショイ / Credit:MinuteEarth、『ナゾロジー』より引用)

フシギダネはカエルに似た外見をしていますが、背中には球根があります。

動物と植物の組合せは非現実的に思えますが、実は近い組み合わせは実際に存在します。

「ポケモン」は生物学的に存在できるのかを考えてみた
(画像=モクズガニ / Credit:Depositphotos、『ナゾロジー』より引用)

例えばモクズショイ(学名:Camposcia retusa)は、インド洋や西部太平洋に生息するカニであり、甲羅に海藻を付けて擬態することで知られています。

ただし、「植物を操作して攻撃する」というフシギダネの能力は現実的ではありません。

「ポケモン」は生物学的に存在できるのかを考えてみた
(画像=植物を操作する動物はいない / Credit:MinuteEarth、『ナゾロジー』より引用)

もちろん単体で虫を捉える植物は存在していますが、そのような攻撃特性のある植物と動物が合体している例は未だ発見されていないのです。

ヒトカゲは化学反応によって火を噴いているのかもしれない

「ポケモン」は生物学的に存在できるのかを考えてみた
(画像=ヒトカゲに近いのは、ミイデラゴミムシかも / Credit:MinuteEarth、『ナゾロジー』より引用)

ヒトカゲは名前のとおり、火を噴くトカゲのようなポケモンです。

まず外見ですが、ヒトカゲのように尻尾に火が付いている生物は存在しません。

では、火を噴く生物は存在しているのでしょうか?

オサムシ科の昆虫「ミイデラゴミムシ(学名:Pheropsophus verticalis)」は、アジアに存在するボンバディア・ビートルつまり爆撃カブトムシであり、ある程度近い特性を持っています。

「ポケモン」は生物学的に存在できるのかを考えてみた
(画像=ミイデラゴミムシは腹部で化学反応させて高温溶液を噴射 / Credit: BBC earth、『ナゾロジー』より引用)

ミイデラゴミムシの体内には2種類の化学物質があり、それらを反応させて腹部から100℃近くの高温溶液を噴射することが可能です。

ちなみに毒を生成する腺を口内にもつトカゲはいますが、残念ながら直接火を噴く動物はこれまでに確認されていません。

ゼニガメは現実的にありえる!

「ポケモン」は生物学的に存在できるのかを考えてみた
(画像=ゼニガメはウミガメとかなり似ている / Credit:MinuteEarth、『ナゾロジー』より引用)

ゼニガメは口から水を噴射するカメのようなポケモンです。

こちらはかなり現実的な存在だといえます。なぜなら実際にウミガメは口や鼻から余分な塩水を排出するからです。

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(画像=ウミガメは口から余分な塩水を吐き出す / Credit:Brocken Inaglory / Wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

またキスイガメ(学名:diamondback terrapin)は水を飲んでいる最中に捕食者を見つけると、口から水を吐き出し、身体を軽くして素早く逃げようとします。

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(画像=キスイガメは水を吐いて素早く逃げる / Credit:Ltshears / Wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

あとは捕食者に対して水を噴射できさえすれば、ゼニガメとほとんど変わりませんね。

ピカチュウの電撃は水中専用

「ポケモン」は生物学的に存在できるのかを考えてみた
(画像=陸で放電するのは難しい / Credit:MinuteEarth、『ナゾロジー』より引用)

ピカチュウは電流を生み出すネズミのようなポケモンです。

衝撃的な能力ですが、わたしたちは既に同じような能力をもつ現実世界の生物を知っているのではないでしょうか?

実際、これまでに放電能力をもつ生物が6種類以上確認されています。

例えば、デンキウナギ(学名:Gymnotiformes)は体内に発電器官をもつ淡水魚であり、デンキウナギに属する208種類以上が水中で放電できます。

「ポケモン」は生物学的に存在できるのかを考えてみた
(画像=デンキウナギは電気生物として有名 / Credit:Stan Shebs / Wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

またガンギエイ(学名:Rajiformes)も発電する魚として知られています。なかには発電の電圧が60Vに達するエイも存在するとのこと。

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(画像=ガンギエイも発電する魚 / Credit:valerie mayers / Wikipedia、『ナゾロジー』より引用)

しかし、これらの電気生物は全て水生です。ピカチュウは陸生であり、伝導率の悪い空気中で放電するのは現実的ではないでしょう。

さて、ここまでで空想世界のポケモンを生物学的な視点で分析しました。

では一番現実的なポケモンは何だったでしょうか?

「ポケモン」は生物学的に存在できるのかを考えてみた
(画像=リアリストにはゼニガメがぴったり! / Credit:MinuteEarth、『ナゾロジー』より引用)

それはゼニガメです。実際にゼニガメが存在していても違和感は全くないでしょう。

超リアリストの皆さん、あなたが最初に選ぶべき最高のパートナーはゼニガメです!


参考文献

Could these four Pokémon exist in real life?


提供元・ナゾロジー

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