中国の一部の地方など、インフラ制約の少ない土地では100メートル超のブレードも導入されていますが、多くの国や地域では「運ぶこと」が最大の制約となっています。

それならば、「分割して運んで、現場で組み立てればいいのでは?」と考える人もいるでしょう。

しかし、風力発電ブレードは一体成型によって「軽さ」と「強度」を両立しています。

複数のパーツを現場でつなぐと、接合部がどうしても弱くなり、重量も増加してしまうため、発電効率や耐久性が大きく損なわれてしまいます。

また、現場に巨大なブレード工場を作るのも現実的ではなく、「運べる長さ=陸上風力ブレードの限界」となってきたのです。

では、この限界を超えるための良いアイデアがあるでしょうか。

「空を飛ぶ倉庫」が風力発電を進化させる

「輸送の壁」を打ち破るため、ラディア社が開発を進めているのが、世界最大の貨物専用飛行機ウインドランナーです。

ウインドランナーの最大の特徴は、その「規格外の大きさ」にあります。

なんと、全長108mです。

世界最大の飛行機といえば、An-225(全長84m)であり、他にもエアバスA380(全長73m)やボーイング747(全長71m)がその巨大さで有名です。

これらを考えると、製造中のウインドランナーが常識外れの大きさであることがよく理解できます。

またこの飛行機の翼幅は80m、全高は24m(8階建てビルに相当)。

貨物室の容量はボーイング747の9~12倍にもなり、最大で105メートルのブレードを1本、または95メートルのブレードを2本積載できます。