自民党総裁選の前倒しをめぐり、各種調査では賛成が反対を大きく上回っています。読売新聞調査では賛成149人、反対43人、共同通信調査でも賛成120人超、反対50人弱で、いずれも賛成が多数です。ただし約4割が「未定」と回答しており、この層が最終的な行方を左右します。臨時総裁選には過半数の172人が必要で、情勢は依然流動的です。

石破首相 自民党HPより

都道府県連でも北海道や東京など13都道県が前倒し賛成を決定し、地方にも「石破おろし」の動きが広がっています。東京都連は緊急会合で全会一致の決定を下し、地方組織からの圧力が強まっています。

賛成派議員は「選挙結果の責任を明確にし、新体制を立ち上げるべき」と主張し、反対派は「政治空白を避け、当面の課題に集中すべき」と訴えています。石破首相は続投の姿勢を崩さず、「総裁選になるくらいなら解散する」と発言しました。しかし、総裁選は党内手続きであり解散では阻止できないため、発言は脅しと受け止められています。加えて、解散は国民を再び大規模選挙に巻き込み、真の政治空白を招くとする批判も強まっています。

加えて、党幹部や小渕優子氏らが辞表を提出し、選挙準備体制は事実上崩壊しています。新たな人事で選挙を行うのは難しく、仮に解散しても公約づくりや候補者体制の維持は困難とみられます。石破首相の解散示唆は党勢回復につながらず、かえって不信を増幅させています。

こうした中、マスコミも総裁選前倒しを既定路線のように報じ、ANN調査では新人議員の9割、当選5期以下でも6割が賛成するなど、若手・中堅を中心に賛成が拡大しています。一方で、高市早苗氏や小泉進次郎氏らを次の有力候補として取り上げられるなど、石破首相退陣後の後継争いにも関心が集まっています。

総裁選の前倒しが実現しなければ、自民党が党再生を託す気概を欠いていることを示し、政権の末期的状況を決定づけるとの見方が広がっています。今後、未定議員や地方組織の判断がカギを握り、9月8日の提出期限に向け情勢は緊迫度を増しています。