当方が気になったことは、今回、初めて多国間の指導者が結集する中国の軍事パレートに参加した金正恩総書記の反応だ。中国の先端武器を観てどのように感じただろうか。「わが国も中国のそれに負けない軍事力を構築する」という危険な願望を抱いただろうか。

金正恩総書記は2024年6月、ロシアのプーチン大統領と会談し、安全保障・防衛分野などを網羅した「包括的戦略パートナーシップ条約」を締結する一方、約12000人の兵士をロシア軍支援のためウクライナに派遣するなど、露朝両国は軍事同盟の関係を深めている。その一方、盟友中国との関係が疎遠になってきた。そこで金正恩総書記は中国との関係を再び「血で結ばれた同盟」まで引き上げるために、今回の北京訪問を決めたのではないか。

習近平国家主席は人民大会堂でプーチン大統領と会談し、その後、私邸でプーチン大統領を歓迎している。クレムリンによると、プーチン大統領は露中関係が「かつてないほど高いレベルにある」という。国営新華社通信によると、「習近平国家主席は『両国関係は国際的な変化の試練を乗り越え、今後も拡大できる』と述べた」という。報道によると、両国はエネルギー、航空、人工知能、農業などの分野を含む20以上の協力協定に署名した。

調印された合意の中には、中国への新たな巨大パイプラインの建設も含まれている。国営ガスプロムは「シベリアの力2」を通じて、今後30年間で500億立方メートル以上のガスを供給する予定だという。

なお、ドイツ民間放送ニュース専門局nTVでケルン大学の政治学者トーマス・イェーガー教授は北京の軍事パレートと習近平主席の演説を聞き、「習近平国家主席の夢であり、世界だ」と述べていた。

ちなみに、新国家主席に就任した当時の習近平氏は2013年3月17日、全人代閉幕式の演説で「中国の夢」という表現を初めて使い、「中国型の社会主義路線を堅持し、5000年余りの民族の夢を実現する」と述べた。あれから12年以上が経過した。1万人の兵士が織りなす盛大な軍事パレートを観ながら、習近平主席は「自分の夢が実現した」と満足しているだろうか、それとも「台湾再統一」という宿願が実現されるまで、夢はまだ終わりを迎えていない、と決意を新たにしただろうか。

中国共産党HPより