AIを使った自己表現やブランド発信力も、次世代の女性像の一つとして評価する意図があるのです。

では、実際にこの新たな取り組みへの反響はどのようなものでしょうか。

「本物らしさ」とは?広がる議論とAI分身社会のインパクト

この画期的なAIステージには、参加者や業界関係者の間でさまざまな反応が広がっています。

実際にAI分身を作成したモデルの一人、23歳のジェシカ・プリスキンさんは、物理学を専攻した現役モデルです。

彼女は「変化に適応しないと時代に取り残されます。AIの力を活用することは、新しい世界で生き残るために必要です」と前向きに語っています。

一方で、「AIアバター参加は断固拒否」という声もあります。

セミファイナリストのフィービー・マイカリデスさんは、「コンテストの核心は“本物であること”です。人々にはリアルな私自身とつながってほしいです」と述べ、ディープフェイクや偽情報のリスクについても強い懸念を表明しました。

また、モデル業界の広報担当者ハリエット・ウェブスター氏は「AIクローンは個性を消し去り、人間ならではの存在感や魅力を奪う」と批判しています。

こうしたAIモデルやアバターが広告やファッション業界に登場する動きは急速に拡大しています。

2023年、2024年にはLevi’sやH&MといったファッションブランドがAI生成モデルを広告に起用したとで激しい反発を受けました。

また2025年8月にはGuessがVogue誌でAIモデルをフィーチャーし、やはり論争を呼びました。

さらに、ハリウッドでも俳優の肖像権や声の無断AI利用をめぐりストライキが起き、音楽業界でもAIによる著作権侵害問題が表面化しています。

企業にとってAI分身の導入は「休みも給料も要らず、無限に働ける」合理的な選択とされる一方で、実際の人間モデルやクリエイターの仕事や価値が脅かされる現実も見えてきたようです。