ピエロ・インカピエ 写真:Getty Images

 プレミアリーグのアーセナルは今2025年夏の移籍市場で積極的な動きを見せ、複数の補強を行った。守備陣の選択肢不足に悩まされた昨2024/25シーズンからの課題を解決するため、特にディフェンス強化が重視されていた。昨シーズン終盤にDFガブリエウが負傷離脱した際には、センターバックの層の薄さが顕著となり、クラブにとって守備の補強は急務だった。

 その中でアーセナルは、ブンデスリーガのバイエル・レバークーゼンからDFピエロ・インカピエを今夏にレンタルで獲得したが、実際には4500万ポンド(約89億円)で完全移籍させる義務があるとアメリカメディア『The Athletic』は伝えている。当初は買い取りオプション付きレンタルで獲得と伝えられていたが、これはアーセナルの財務上の理由による表現に過ぎないという。

 同報道によれば、アーセナルはインカピエの移籍金を今シーズンではなく来2026/27シーズンの会計に計上するため、契約を「買い取りオプション」として扱った。もし「買い取り義務」として契約に明記すれば、今シーズンの時点で完全移籍を結んだものと見なされ、今シーズンの会計に計上されてしまう。そのため表現上はオプションとなっているが、実際には来2026年夏に約89億円で完全移籍が確定している。

 今夏にアーセナルはMFエベレチ・エゼ、MFマルティン・スビメンディ、FWビクトル・ギェケレシュらに多額の投資を行っており、このインカピエに対する契約形態は財務的フェアプレー違反のリスクを避けるための手段のようだ。

 インカピエは2023/24シーズンにレバークーゼンでシャビ・アロンソ監督(現レアル・マドリード)の指揮下、無敗で国内2冠を達成した経験を持つ。同選手は左利きのセンターバックであり、右利きが中心の守備陣に比べて後方からのパスの展開に幅を持たせることが期待されている。