重要なのは、参加者自身の“ふだんの愛情表現スタイル(言葉派か行動派か)”には、男女差がほとんど見られなかった点です。
つまり観察された性差は、単に「自分がやるから相手にもそれを求める」という鏡写しでは説明できません。
むしろ、相手を温かく信頼できると感じる“受け取り方の違い”が、好みの差につながっていると解釈されます。
なぜ女性は「甘い行動」を強く評価するのか
チームは、進化心理学の観点から以下の仮説を立てていました。
女性はパートナーの信頼性や投資意志(時間・労力を2人の関係に注ぐ姿勢)を示す手がかりに敏感であり、それが長期的な安定や共同育児の成功に関わるからです。
いっぽう男性は、初期段階では即時的な情緒的/性的関心のサイン(言葉による好意の明瞭な表明など)に反応しやすい可能性があります。
結果は、この理論的予測と整合的でした。
ここでのポイントは、「甘い行動」が努力を伴い、偽装しにくいということです。
言葉は強い情緒的効果を持ちますが、一方で、実際には思っていないことを口にするなど、偽装が可能です。
これに対して「食事を作る、タスクを肩代わりする、スケジュールを調整して会いに来る」といった行動は、実際に時間や労力を伴うものなので、恋愛パートナーにとって温かさや信頼できるサインとして映りやすいのです。

実生活への落とし込み
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最初は「小さな行動」を積み上げる
大げさな演出や高価な贈り物でなくて大丈夫です。忙しい日にお茶をいれる、帰宅前に必要な日用品を買っておく、重い荷物を自然に持つ――こうした「小さな投資」が、言葉以上に相手の温かさ・信頼性を伝えます。 -
言葉と行動の“整合性”を意識する
「いるよ」と言いながら肝心なときにいない、という不一致は信頼性を大きく損ないます。言葉を補強する形で行動を添えるのが効果的です。つまり、言ったことは行動に移すことが大事です。