8世帯に暮らす24匹のネコを対象に、今度は飼い主ではなく研究者自身がネコと対面しました。

比較対象として「瞬きをせずにじっと見つめる」条件を設定し、もう一方では研究者が「ゆっくりまばたき」を行い、さらに手のひらを差し出してみました。

その結果、ネコは研究者のゆっくりまばたきに応じて瞬きを返すだけでなく、差し出された手に自ら近づいて触れる行動も多く見られたのです。

つまり「ゆっくりまばたき」は飼い主に限らず、初対面の人間との間でも信頼を築くサインとして機能することが確認されました。

この成果は、ネコの行動学においても重要な発見です。

ネコは犬ほどあからさまに感情を示さないため、長らく「人間とは距離を置く動物」と考えられてきました。

しかし近年の研究では、ネコが飼い主の感情を察したり、名前を聞き分けたりする能力が明らかになっています。

この研究もまた、ネコが人間と想像以上に深いレベルで関わっていることを示しています。

ネコとの絆を深めるには、高価なおもちゃや特別な訓練は必要ありません。

目を細めて、ゆっくりとまばたきをする。

それだけでネコは「この人は安心できる」と感じ、あなたに同じ仕草を返してくれる可能性が高まるのです。

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参考文献

Scientists Reveal a Simple Technique to Communicate With Your Cat
https://www.sciencealert.com/scientists-reveal-a-simple-technique-to-communicate-with-your-cat

元論文

The role of cat eye narrowing movements in cat–human communication
https://doi.org/10.1038/s41598-020-73426-0

ライター

千野 真吾: 生物学に興味のあるWebライター。普段は読書をするのが趣味で、休みの日には野鳥や動物の写真を撮っています。