オフィスビルやマンション、競技場などの大規模施設で、運搬や販売などの業務にロボットを活用する動きが進んでいる。人手不足への対応が喫緊の課題となる中、業務の効率化に向け、ロボットと人間の労働力の共存を模索する取り組みが広がってきた。

 プロ野球日本ハムの本拠地「エスコンフィールド北海道」(北海道北広島市)では4月、ビールだるの運搬用に、作業支援ロボット「SUPPOT(サポット)」を導入した。作業者の位置を検知して自動追従する機能があり、一度にビールだるを最大60個運ぶことが可能。観戦者に飲食物を移動販売するロボットも実証中で、業務を担うヤマトホールディングスは「他の物流現場にも展開できれば」(広報)と話す。

 三井不動産などが開発した大型分譲マンション「三田ガーデンヒルズ」(東京都港区)では、ポーターサービスにロボット4台を活用。住民の買い物などの荷物(重さ最大30キロ)を載せ、エントランスと各住戸の間を運搬する。ロボットの動きに連動してドアやエレベーターなども作動するため、スムーズに自動走行できる。実証段階から効率的な配送ルートを検証し、住民への周知も行ったことで「ポーターサービス業務の2割超がロボット配送になった」(広報)という。

 KDDIは7月、ローソンと連携し、東京都港区の再開発地区「高輪ゲートウェイシティ」にある本社内にデジタル技術を駆使した実験店を設けた。10台のロボットを導入し、商品を社員の執務室まで配達するほか、巡回販売も行う。店舗の業務効率化や利便性が高いサービスの開発に向け、知見を集める狙いがある。 (了) (記事提供元=時事通信社) (2025/08/27-15:32)