なお、ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオンがメキシコシティで複数のキャバレーを経営していることも明らかになっている。
ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオン創設者の逮捕は米国の最重要課題
ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオンの創設者エル・メンチョ(本名:ネメシオ・オセゲラ)は現在、メキシコ国内に潜伏している。米国麻薬取締局(DEA)が掲げる最重要指名手配者の一人であり、逮捕に向けて1,000万ドルの懸賞金がかけられている。
エル・メンチョは、かつてシナロアの下請け的存在であった「カルテル・デ・ミレニオ」のメンバーであった。ミレニオの創設者2名が死去した後、分裂状態となっていた同組織を再編したのが彼である。
彼は米国で麻薬密売の罪により逮捕・服役した後、メキシコに戻って一時期は警察官として勤務していた経験もあり、強い統率力を持つ。その一方で、彼の組織はメキシコで最も凶暴なカルテルとも称されている。
こうした背景もあり、エル・メンチョ率いるハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオンは、わずか10年余りでシナロアに匹敵する勢力にまで急成長を遂げた。
米国における麻薬密売市場では、現在シナロアと並ぶ規模となっており、国内の密売ネットワークにおいては、ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオンの方がわずかに優位に立っているともされる。この二大カルテルは、米国市場におけるフェンタニルの流通をほぼ独占している。
ハリスコ・ヌエバ・ヘネラシオンの過激化には、創設者エル・メンチョの息子エル・メンチートが、2024年に米国の裁判所で無期懲役30年の判決を受けたことが影響しているともいわれる。エル・メンチョは、息子の逮捕・米国送還にシナロアが関与していたと信じており、これが復讐心をかき立てている。