2025年7月31日、エルサルバドル議会はブケレ大統領の再選を制限していた憲法を改正し、無期限での大統領就任が可能となった。議席数50のうち、反対したのはわずか3議席で、残る47議席はブケレ氏率いる政党の議員である。すなわち、議会によって独裁体制が正式に承認されたことになる。
長年にわたり犯罪が蔓延していたエルサルバドルだが、ブケレ氏が2019年に就任して以降、3つの主要ギャング組織のメンバーを、逮捕状もなく次々に拘束し、刑務所に収監してきた。たとえば2015年には月に1,700人が殺害されていたが、昨年は年間180人と、極端に犯罪が減少している。
4万人を収容できる巨大刑務所も完成し、すでに2万人が収容されている。彼らが全員ギャングであるという確たる証拠はないものの、不審者は片っ端から拘束されているという。国民は治安の改善と引き換えに、ブケレ氏が無期限で政権を維持することを容認したのである。
ベネズエラ:米国、マドゥロ大統領に25万ドルの報奨金
米国はついに、ベネズエラのマドゥロ大統領の逮捕に対して25万ドルの報奨金を提示した。背景には、主にコロンビア産のコカインがベネズエラを経由して米国に流入しているという問題がある。その流通を担っているのが、軍人によって構成されたベネズエラの麻薬組織「カルテル・デ・ロス・ソレス(太陽のカルテル)」である。
このカルテルを率いるのが、マドゥロ大統領と憲法議会議長デオスダド・カベーリョ氏である。

マドゥロ大統領
もともとこの仕組みは、チャベス前大統領時代に、コロンビアのゲリラ組織FARCと提携し、コロンビア産のコカインをベネズエラ経由で米国に流すルートを構築したことに始まる。その後FARCは和平協定により消滅したが、新たに民族解放軍(ELN)が同様の手法で、ベネズエラの軍組織を通じて麻薬を流通させている。そしてその頂点にいるのが、マドゥロ大統領だと米国政府は見なしている。