黒坂岳央です。

世の中には「採用してはいけない人」が存在する。企業は一度、こうした人を採用してしまうと、時に会社が傾くほどの大損害を被る。多くは「それは企業の教育が不足しているからだ」という反発を覚えるだろうが、その発想は性善説に根ざすものにすぎず、現実的に矯正が難しい人は存在する。

本記事は、特定の個人や属性を否定する意図は一切ない。「採用すべきでない人材」といっても別の場所では活躍することもあり得る。

あくまで、組織運営の現場における「採用と教育」の現実を冷静に見つめ直し、生産性と健全性を保つ方法論を考察する意図を持って書かれた。

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採用してはいけない人

企業経営におけるテーマに「採用が9割」という言葉がある。これは耳障りのいい響きからの言葉ではなく、まったくの誇張ではない。実際に、多くの組織では「入れるべきでない人物を採用しないこと」は健全な会社を継続させる上で大変大きなファクターとなる。

実際によくある話でスキル不足ながらも「やる気がありそうだから」という理由で採用した人材が、現場でトラブルを繰り返したり、自分勝手に働いて周囲に迷惑をかける。

また、会社の備品を盗んだり、逆恨みした企業のデータを破壊して訴訟されるなど、反社会的な行動を繰り返して暴れまわる事例がある。こうした問題人材のフォローに管理職や周囲のメンバーが大変な労力や時間を割かれることで、優秀な社員から離職してしまうという連鎖が起きるのだ。

もちろん、教育によって変化・成長する人材も存在する。だがその割合は現実的に見てかなり少数である。

もしかしたら自分も「企業にとって難しい人材」の一例かもしれない。筆者は会社員をしていた時期もあったが、独立心の引力に引かれて会社をやめた。もちろん会社員として働いている間は自分なりに必死に努力したつもりであり、当たり前だが反社会的な行動など一切していない。だが、自分自身の能力は組織でチームワークで働くスタイルではパフォーマンスを出しきれないと感じることが多く、おそらく研修や教育を受けてもそこは変わらなかっただろうと考える。