UKAの年次報告書によると、2024年の申請件数ではトリーア教区(82件)がトップ、ミュンスター教区(71件)、アーヘン教区(66件)と続く。2021年初頭から提出された申請件数では、ミュンスター教区が428件でトップと、ケルン教区(297件)、フライブルク教区(295件)と続く。
聖職者の性犯罪の犠牲者にとって、裁判で争って賠償金を得るためには、教会側の隠蔽、告解の守秘義務(Seal of Confession)、そして時効の壁といったように、多くのハードルがある。もちろん、教会側の事件の全容解明への協力が欠かせられない。
ちなみに、カトリック通信が3月27日報じたところによると、国際的な児童虐待被害者団体「SNAP」は、バチカンに対し、6人の著名な枢機卿を告発した。理由は、聖職者や教会職員による性的虐待を隠蔽したり、教会法上の十分な措置を取らなかったことだ。SNAPは「Survivors Network of those Abused by Priests(聖職者による虐待の被害者ネットワーク)」の略称で、1989年にアメリカで設立され、現在では世界規模のネットワークを持つ組織だ。なお、告発された6人の枢機卿の中には、現教皇レオ14世(本名ロバート・プレボスト枢機卿)の名前も入っていたことを付け加えておく。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2025年7月31日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。