転職や独立に伴い勤務先を退社した場合、健康保険証の切替え手続きが必要になる。保険証は、自分はもちろん、被扶養者である配偶者や子供が保障を受けるために必要なものなので、手続きの種類や概要についてしっかり把握しておくことが大切だ。

保険証の被保険者資格は退職翌日に失効する

転職や独立によりこれまで勤めていた会社を退職する場合、交付されている健康保険証を返却しなければならない。一般的には、最終勤務日に返却することが多いが、郵送による返却も可能である。保険証は本人の分だけでなく配偶者や子供といった被扶養者の分も返却する必要があるため、退職日が決まったら早めに用意しておくといいだろう。

保険証の被保険者資格は退職日の翌日をもって失効となるため、14日以内に保険証の切替え手続きをする必要がある。

保険証の切替え手続きは4種類!目的・状況に合った選択を

転職・独立する場合に行うべき保険証の切替え手続きは、大きく4種類に分けられる。

⑴転職先の社会保険に加入する

退職から転職先への入社までの期間が14日以内である場合、保険証の切替え手続きは「健康保険資格喪失証明書」を転職先に提出し、社会保険への加入手続きをすれば足りる。

ただし、退職~入社までのブランク期間は健康保険に加入しておらず医療費等が全額自己負担となってしまうため、気になる場合は以下のいずれかの手続きを行うといいだろう。

⑵健康保険任意継続の手続きをする

退職により被保険者の資格を喪失した場合であっても、以下の2つの要件を満たす場合には所定の手続きをすることで引き続き被保険者となることができる。

  • 退職日までに2ヵ月以上継続して被保険者であった期間があること
  • 「任意継続被保険者資格取得申出書」を、資格喪失日(退職日の翌日)から20日以内に提出すること

任意継続被保険者として健康保険に加入できるのは、2年間に限られる。この期間中は在職中と同様の保障を受けられるが、出産手当金や傷病手当金など、一部支給を受けられないものもある。

⑶国民健康保険に加入する

独立してフリーランスや自営業者になる場合、あるいは任意継続制度を利用しない場合、国民健康保険に加入するという選択肢もある。

国民健康保険への加入手続きは原則として資格喪失日より14日以内に行う必要があるため、保険料などについて調べたうえで、どの手続きをするのか早めに決断することをおすすめする。

⑷被扶養者になる手続きをする

配偶者など、家族の中に健康保険加入者がいる場合、その扶養に入るというのもひとつの選択肢である。この場合の手続きは、家族の勤務先もしくは加入保険事務所に問い合わせてみるといいだろう。

新しい保険証が届くまでに病院へ行く場合は?

国民健康保険に加入する場合は保険証が即日交付されるが、転職先の健康保険に加入する場合や健康保険任意継続制度を利用する場合、保険証が交付されるまでに多少の時間を要する。

では、新しい保険証が届くまでに病院へ行く場合、どうすればいいのだろうか。

健康保険への加入手続きをしてから保険証が届くまでの間に病院を受診する場合、「健康保険被保険者資格証明書」を提出することにより3割負担で治療を受けられる。この証明書は基本的に、事業主が年金事務所に申請をすることで交付されるため、必要な場合は転職先の事業主に申し出るといいだろう。

また、この証明書を提出せず全額自己負担で治療費を支払った場合でも、保険証が届いた段階で後日これを提出すると、7割分については返還してもらうことができる。

保険証は、自分や家族が病院へ行く場合に必ず必要になるものである。転職や独立をするにあたっては保険証の切替えについてもよく考え、期日内に手続きを終えられるよう事前に十分な準備をしておきたい。

文・曽我部三代(保険業界に強いファイナンシャルプランナー)
 

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