富豪たちが逃げ込む“地下要塞”、しかしそこも安全ではない

 この終末シナリオを、誰よりも真剣に受け止めているのは、皮肉にも現代文明の恩恵を最も享受してきた億万長者たちだ。彼らは「スーパープレッパー」として、世界の終わりに備えている。

 PayPalの創業者ピーター・ティールは、終末の際にはプライベートジェットでニュージーランドの地下要塞(バンカー)へ逃げ込む計画を立てている。OpenAIのCEOサム・アルトマンも、彼とその要塞へ共に逃げ込む契約を結んでいるという。

 しかし、ケンプ博士によれば、こうしたバンカーでの生き残りは、ほとんど不可能だという。

 富豪たちが抱える最大の悩みは、「文明崩壊後、どうやって警備部隊を支配し続けるか」だ。結局のところ、銃と軍事訓練を持つのは警備員たちであり、武装クーデターが起きる可能性は極めて高い。

 さらに、たとえ内部統制がうまくいったとしても、孤立した人類の小集団は、歴史上、長続きした試しがない。食料供給が途絶えれば、飢餓が待つだけだ。

本当に生き残るのは誰か

 ケンプ博士は、衝撃的な結論を提示する。世界的な大災害が起きた時、最も生き残る可能性が高いのは、超富裕層ではなく、「最も貧しい人々」だというのだ。

 世界の産業が停止すれば、食料輸入に依存する先進国が最初に打撃を受ける。化学肥料や農薬の供給が途絶えれば、北米やヨーロッパ、中国、インドといった主要生産国の農業生産は壊滅するだろう。

人類文明は“自滅”する、残された時間は25年 ― 科学者が予測する悪夢の未来の画像3
(画像=画像はUnsplashのJuanita Swartより)

 一方で、化学物質の使用が少ないアフリカの自給自足農家は、生産量の減少が比較的小さく、飢餓の規模も小さい可能性があるという。

 我々の文明は、今、いくつもの弾丸が込められたリボルバーで、自らのこめかみに銃口を突きつけている。核戦争、気候変動、AI、パンデミック…。引き金が引かれる前に、我々はこの狂気のゲームから降りることができるのだろうか。

参考:Daily Mail、ほか

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