終戦直後の日本人は飢死しないために必死に働いたが、政府が貯蓄を奨励したため、貯蓄率は上がった。低金利の銀行預金のおかげで資本コストが低く、これが戦後の高度成長を支えたが、それが投資過剰となり、不動産バブルが形成されて崩壊した。
その反動で1990年代以降は極端な貯蓄過剰(投資不足)になった。これを政府部門が吸収したため財政赤字が大きくなり、家計貯蓄が国債を支える構造が続いている。労働者は職を失うリスクを恐れ、賃上げを自粛して雇用を守った。
このように企業も家計も家畜化し、リスク回避的になったことが、日本の衰退した原因だというのが拙著で論じた問題である。