池田太監督 写真:Getty Images

 タイサッカー協会(FAT)は8月22日、タイ女子代表の池田太監督(54歳)の解任を決めた。タイ女子代表は、8月に開催されたASEAN女子サッカー選手権2025で4位に低迷。特に、宿敵であるベトナム女子代表に2連敗を喫したことで、一気に解任論が高まった。

 タイは今大会のグループステージ最終節で開催国のベトナムと対戦し、0-1で敗れてグループAを2位通過となった。最少失点での敗戦だったが、内容は完敗と言えるものでほとんど攻撃の形を作ることができず、終始ベトナムに圧倒された。続く準決勝では、浮氣哲郎監督率いるミャンマー女子代表に1-2で逆転負け。ベトナムとの再戦となった3位決定戦でも1-3で惨敗して、4位という期待外れの成績で大会を終えた。

 タイはこれに先立ち、7月5日に行われたAFC女子アジアカップ予選グループBの最終節でインド女子代表に1-2の歴史的敗北を喫しており、この結果で同組2位となり3勝1敗で予選敗退が決定。タイの予選敗退は史上初だった。

 元なでしこジャパン監督(2021-2024)の池田監督は、FIFA女子ワールドカップ2023でチームをベスト8に導き、アンダー世代の日本女子代表でも、AFC U-19女子選手権2017で優勝、FIFA U-20女子ワールドカップ2018で優勝という輝かしい実績を誇る。2025年1月、タイ女子代表監督に就任しチームをネクストステージに引き上げることが期待されたが、就任後は思うように結果が残せず志半ばでの解任となった。

 タイでは2025年初めの時点で、男子A代表を石井正忠監督、男子U-23代表を西ヶ谷隆之監督、女子A代表を池田監督が指揮しており、FATは日本人指揮官の手腕に絶大な信頼を置いていた。しかし、西ヶ谷監督は就任後5連敗でスピード解任となり、池田監督も成績が振るわずに解任。これで残るは石井監督だけとなった。

 なお、石井監督はタイリーグでブリーラム・ユナイテッドを2年連続の3冠に導くなど素晴らしい実績を残したが、タイ代表ではまだファンを納得させるだけの成績を収めておらず、9月のキングスカップで不甲斐ない試合を演じた場合は同様に立場が危ういものとなる。今回のキングスカップには、フィジー代表、香港代表、イラク代表が招待されており、タイは9月4日に行われる初戦でフィジーと対戦する。