多くの人は、程度の差があるものの電話恐怖症に陥っています。
実際、イギリスのサラリーマンを対象とした2019年の調査では、20代から30代の76%と、50代から60代の40%が、電話が鳴ったときに不安を感じていると判明しています。
そこでイギリス・ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ校に所属する心理学者イルハム・セバ氏は、電話恐怖症の原因と解決策を解説しました。
目次
多くの人が電話恐怖症になるのはなぜか?
電話恐怖症を乗り越える方法
多くの人が電話恐怖症になるのはなぜか?
人々が電話を怖がるのは、電話が「声だけ」のコミュニケーションだからです。
得られる情報と与える情報が限られてしまうため、不安を感じてしまうのです。
例えば、対面での会話では、相手が何か別のものに気を取られていたり熟考したりしていることが視覚情報から判断できます。
しかし電話ではその理由が分からないため、小さな沈黙が生じるだけでも心配になるのです。
また電話には「気晴らし」がなく、そのことが圧力を感じる原因となっています。
対面会話では大抵、会話の途中で部屋の中を観察したり、窓の外を一瞬眺めたりします。またメールの着信をこっそりと確認することもあるでしょう。
そのような「気を散らすもの」のおかげで、私たちは自然でリラックスした会話を楽しめるのです。
ところが電話にはそれら外的要因がすべて無いため、私たちはひたすら電話で話すことに集中しなければいけません。結果として疲れてしまいます。
さらにある研究によると、電話恐怖症は「相手が自分のことをどう思っているか」という先入観と関連しているとのこと。
「相手から良く思われていない」と考えてしまう人は、話し言葉ですぐに反応されるのを怖がってしまうのです。
これら電話恐怖症の原因に心当たりがある人は多いでしょう。しかし、セバ氏は電話恐怖症を乗り越える方法も解説してくれています。
電話恐怖症を乗り越える方法
電話恐怖症を乗り越えるためには、事態を先延ばしにしないことが大切です。
不安が大きい場合には、電話しなければいけない用事を先延ばしにしたり、完全に電話以外の方法を選択したりするのではないでしょうか?
しかしそれでは事態が悪化するだけであり、電話恐怖症の克服には繋がりません。
セバ氏は、電話恐怖症を克服する最も効果的な方法は「たくさん電話する」ことだと述べています。
電話恐怖症は経験不足が関連している可能性が高いため、練習すればするほど不安はなくなり自信が持てるようになるのです。
さらにセバ氏は、たくさん電話するための方法も提案しています。
それは、友人や同僚など、「電話で話す必要のある人のリストを作る」というもの。
そして電話する前に「何が自分を不安にさせるのか」考えてから、実際に電話します。
電話した後は、自分が通話を成功させたことを認めましょう。
「言葉に詰まったが、用件を伝えることができた」「相手から良く思われていないと感じていたが、実際に否定されたわけではなかった」などと考えることで、電話に対する不安を成功体験で少しずつ塗りつぶすのです。
また成功を自覚することで次に電話するためのモチベーションが高まります。
もちろん、強い電話恐怖症を抱えているなら、専門家のカウンセリングが役立つことでしょう。
コロナ禍では致命的かもしれない電話恐怖症。電話が苦手な方はぜひ克服できるようチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
参考文献
Phone call anxiety: why so many of us have it, and how to get over it
提供元・ナゾロジー
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