興味深いのは、「若者ほどオンラインで出会う」という想定が当てはまらなかったことです。
コワル博士によれば、年齢層を問わずほぼ同じ割合でオンラインデートが利用されており、世界的に広く浸透していることが示されました。
オフラインで出会った方が満足度は高い
では、オンラインとオフラインで恋愛の質にどのような違いがあるのでしょうか。
分析の結果、オフラインで出会ったカップルは、関係満足度が高く、愛の3要素である「親密さ」「情熱」「コミットメント」の全てで優位を示しました。
特に「コミットメント」において差が大きく、関係を維持しようとする強い意志がオフライン出会い組に多く見られたのです。
この傾向は50か国の大半で確認され、特に男性と33歳以上の参加者において顕著でした。
一方、女性や若年層では差が小さいことが分かっています。
なぜオンラインで出会った関係はやや満足度が低い傾向にあるのでしょうか。
研究チームは明確な因果を断定していませんが、いくつかの可能性を指摘しています。
ひとつは「背景の違い」です。
オンラインで出会うカップルは、教育や宗教、民族などバックグラウンドが異なることが多く、共通性が少ないことが関係の質に影響している可能性があります。
心理学ではこれを「ホモガミー(類似性)」と呼び、類似性が低いほど関係満足度が下がる傾向が報告されています。
もうひとつは「選択肢の多さ」です。
アプリでは無数の候補者から選べる一方で、その豊富さが逆に迷いや後悔を生みやすく、最終的な満足度を下げてしまうことがあります。
さらに、アルゴリズムによるマッチングが不透明であったり、プロフィールに誤った情報が含まれていたりする点も信頼や満足度を損なう要因とされています。
ただし、これはあくまで平均的な傾向であり、オンライン出会いが必ず不利というわけではありません。
コワル博士自身も「オンラインで出会って強く幸せな関係を築いているカップルは数多く存在する」と強調しています。