「月が消える夜」8月23日に訪れる“ブラックムーン”は聖書の終末予言か、ただの天文現象かの画像1
(画像=イメージ画像 Created with AI image generation (OpenAI))

 8月23日の夜、月が消える――。月が見えなくなる「ブラックムーン」はこの世の終末のプロローグなのだろうか。

■23日の“ブラックムーン”は終末の序曲なのか?

 通常、新月は1カ月に1回だが、まれに1カ月以内に2回、新月が訪れることがある。この2回目の新月のことを一部ではブラックムーン(black moon)と呼んでいる。

 満月の対極にある新月は地球と太陽の間を通過するため、地球に面した側は影になり、漆黒の闇夜に紛れて肉眼では見えない。まさにブラックムーンである。

 今週末に起きるこの珍しい天文現象により、聖書予言と終末の到来についての憶測が再燃している。

 その根拠は新約聖書の「マルコによる福音書」13章24節だ。

「 ** 太陽は暗くなり、月は光を放たなくなる ** 」

 続く13章25節は、

「 ** また、天の星は落ち、天体は揺り動かされる ** 」

 と記されており、イエスが終末の出来事について語る中で、天体の異変を予言した部分であるといわれている。

 8月23日のブラックムーンはこの世の終わりの呼び水となるのだろうか。

 しかし、天文学者たちは、心配する理由は何もないと説明している。

「ブラックムーンとは、暦上の1カ月間に起こる2度目の新月です」と米シラキュース大学の物理学准教授、ウォルター・フリーマン氏は解説する。

「月初めに新月が起こった場合、次の新月は月が明ける前に起こる可能性があります。科学的な観点から言えば、これはほかの新月と何ら変わりません」(フリーマン氏)

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(画像=画像は「Daily Mail Online」より)

 ちなみに「ブラックムーン」という用語は正式な科学的な名称ではなく、この珍しい奇異な現象を指す俗称である。

 NASAの説明によると、新月の間、太陽光は月の裏側を照らし、地球に面した側は暗いままなので、地上の観測者には月の表面は見えなくなる。

 29.5日かけて、月は地球から見て明るさが0%の新月から、明るさが100%の満月まで変化し、また元に戻る。

 一部の占星術師はこの出来事をスピリチュアル的に重要なものとみなしたが、専門の科学者は天文学的メカニズム以外には本質的な意味はないと考えている。

 2016年、科学誌「National Geographic」のマイケル・グレシュコ氏は、ブラックムーンを「ブルームーンの邪悪な双子」と表現し、ネット上でセンセーショナルな主張があるにもかかわらず、そのような現象が災害や世界の終わりの前兆となるわけではないと指摘した。

 ブラックムーンの間、空自体には特に目を見張るような光景は繰り広げられないが、月明かりがないことは天体観測者にとってのメリットとなる。夜空が暗いほどほかの星がよく見えて天体観測に適しているからだ。

 この間、オリオン座、おうし座、しし座などの星座はより鮮やかに見え、夜空で最も明るい金星はほのかな黄色に輝く。火星もかに座の近くに赤い点として見える。

「月明かりが少ないので星空観察には最適です。アマチュア天文家や夜空に興味がある人にとっては、普段は月で隠れてしまう星や惑星をより鮮明に観察できる絶好の機会です」(フリーマン氏)

 聖書的には不気味なブラックムーンだが、来る8月23日は暫し夜空を見上げてみてもよさそうだ。晴れていればいつもより星々がくっきり明るく見えそうである。

参考:「Daily Mail」ほか

文=仲田しんじ

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