海の中で目撃されるサメといえば、多くの人が灰色の鈍い体色を思い浮かべるはずです。

ところが最近、中米コスタリカ沖で、まるでファンタジー世界から飛び出してきたような「オレンジ色のサメ」が見つかったのです。

研究によれば、これは「コモリザメ(学名: Ginglymostoma cirratum)」と呼ばれる種ですが、色素異常によって鮮やかなオレンジ色になっていると説明されています。

カリブ海では初めて記録された珍しい現象であり、海の生物多様性に新たな一ページを刻む発見となりました。

研究の詳細は2025年8月1日付で科学雑誌『Marine Biodiversity』に掲載されています。

目次

  • 灰色のサメの常識を覆す「オレンジ色の個体」
  • オレンジ色は生存に不利になっているのか?

灰色のサメの常識を覆す「オレンジ色の個体」

今回の舞台となったのはコスタリカ北部のトルトゥゲーロ国立公園近くの海域で、スポーツフィッシング中に偶然発見されました。

そのサメは「コモリザメ(Ginglymostoma cirratum)」と呼ばれる種で、通常は褐色から灰色がかった地味な色をしています。

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通常のコモリザメ/ Credit: ja.wikipedia

しかしこの個体は全身が鮮やかな黄色からオレンジ色に染まっており、釣り上げられた瞬間から現地の人々を驚かせました。

体長は約2メートル、水深37メートルの場所で捕獲され、その後すぐに放流されています。

ブラジル・リオグランデ連邦大学(FURG)の研究チームは、この色の原因が「キサンシズム(xanthism)」と呼ばれる遺伝的な色素異常であると報告しました。

発見されたオレンジ色のサメはこちらのFacebookページに掲載されています。

キサンシズムは本来の色素が変化し、皮膚や毛が黄色やオレンジ色に強く発色する現象で、メラニズム(黒化)やリューシズム(白変)と同じく自然界に存在する稀な色素異常です。