皮膚の奥深く、真皮層にはロープのようにねじれた太く強靭なコラーゲン繊維が走っており、その方向には「Langer’s lines(ランゲル裂線)」と呼ばれる自然な張力のラインが生まれます。
この方向性を考慮して、研究ではコラーゲン繊維が主に走っている方向(ランゲル裂線に沿った縦方向)と、それに直交する横方向で皮膚を切り出し、それぞれの変形を比較しました。
コラーゲンの配向は、皮膚が引っ張られたときの挙動を大きく左右するため、非常に重要な指標です。
実験において皮膚のサンプルは、皮膚本来の張力を模倣した「一定の力」で40分間引っ張られ、どれくらい伸びるか(軸方向ひずみ)、横方向にどれくらい縮むか(横方向ひずみ)、どれほど体積が減少したか(収縮による液体の脱出) などが測定されました。
さらに、皮膚にできたシワの形や深さ、曲がり具合をシリコン型で転写し、顕微鏡を用いて詳細に観察しました。
シワの正体は引っ張られたときの「横縮み」だった

研究の結果、年齢によって皮膚の挙動は劇的に変化することが明らかになりました。
まず、年を取った皮膚は、引っ張られたときに横方向への縮みが顕著になることがわかりました。
つまり、同じ力を加えても、若い皮膚よりも高齢の皮膚は強く横に縮むのです。
この横縮みの度合いは「ポアソン比(Poisson’s ratio)」と呼ばれる値で表されますが、驚くべきことに高齢者の皮膚では、この値が異常な数値を示しました。
これは、皮膚が単に細くなるのではなく、中に含まれる水分が外へと押し出されて体積そのものが減っていることを示しています。